今月のレメディ
『Helleborus niger.』
こんにちは、CHK荻野千恵美です。
今年は、12月21日が冬至になりました。
冬至は、北半球において、日の出から日の入りまでの時間が1年中で最も短い日です。
また、二十四節季の1つで、太陰太陽暦では「一年の起点」となる日とされています。
一年で一番暗い日でもありますが、
「一陽来復」といって「陰が極まった後に陽が返ってくる。」という
おめでたい日であるとも考えられてきたそうです。
今は、一番暗いけれど、これからは、一日一日と明るくなっていく。
私のお気に入りの散歩スポットである、大津琵琶湖疎水の桜並木も、
1枚残らず葉を落としました。
今の桜は、冷たい空にまだまだ小ぶりな枝を突き立てていますが、
春の開花に向けて、輝いていきそうな気配を感じます。
太陽の光が一番弱い季節を過ごすための古くからの人間の知恵でしょうか。
この季節、私たちには、一番明るくにぎやかな行事が待っています。
クリスマスにお正月。
離れていた家族が帰省し、共に集い、食べたり飲んだり。
子供達は、クリスマスにはサンタさんからプレゼントを受け取り、
お正月には両親や祖父母からお年玉をもらえる。
一番うれしい時でもあります。
CHK専門コースの年末の最後の授業の日、
一人の生徒さんが、ご自宅で育てている「セイヨウヒイラギ」をたくさん
持ってきてくれました。
ヨーロッパでは、魔よけとしてクリスマスの装飾として使われているようです。
ヒイラギの棘は、キリストの受難を、真っ赤な実は、キリストの血を表します。
暗くて寒い季節の、生命力にあふれる緑の葉と元気いっぱいの赤い実。
クラスの皆さんは、分け合って少しづつもち帰って行かれました。
今月は、今の季節ならではのレメディをご紹介したいと思います。
『Helleborus niger. (Hell.ヘレボラス/クリスマスローズ)』
ヨーロッパの山岳地帯原産。
一年中で、太陽の出ている時間が一番短くなるクリスマスのころに花を咲かせるため、
クリスマスローズと呼ばれるようになったそうです。
キリストにまつわる逸話もあります。
イエスが生まれた時、一人の貧しい羊飼いの少女がお祝いに駆けつけましたが、
贈り物がありません。嘆き悲しみ、涙がこぼれおちた地面から咲いた真っ白い花が、
クリスマスローズだそうです。少女は、その花を持ってお祝いに行きました。
日本では、寒い時期に咲くので「寒芍薬」「初雪おこし」という名がついています。
最近では「冬の貴婦人」とも称されていますが、直射日光には弱いので、日陰の庭の
ガーデニング素材として人気です。
雪の降る寒い季節に咲く可憐な花ですが、毒性もあります。
Helleborousとは、ギリシャ語で殺す植物という意味があります。
特に、真っ黒い根茎に毒性が多く含まれます。
レメディの原料となるのも、冬季に採取した根茎を使います。
もちろんレメディは極限まで薄めていますから毒性はありません。
Helleborus niger.のniger は、黒いという意味ですが、「黒い」「暗い」が、Hell.の
病像の中心で、日照時間が一年でもっとも短く、世界が暗くなる時期に咲く花を原料に
したレメディらしいところです。
クリスマスローズは、別名 Black helleboreといいます。
また、このレメディは、略語でHell.と表記しますが、
HELLには、地獄という意味があり、
blackとは、まさにこのレメディの症状像の中心テーマです。
生命力が低く、重篤な病気で、患者の周辺が暗く見える状態です。
マテリアメディカ“Focus”の全身症状にも、
暗く、浅黒いレメディ:黒ずんだ顔、すすけた鼻孔、黒ずんだ唇、手。
という一行があります。どこか暗い陰鬱な面のあるレメディです。
古典的なマテリアメディカ「Allen’s keynote」には、
腸チフスの後に使うレメディとあります。
腸チフスは、今では、聞かなくなった病気ですが、日本でも、昭和初期から
終戦直後ころまでは、年間4万人もかかったそうです。
保菌者や発症した患者の便や尿に汚染された水や食物から感染していきます。
チフスは、高熱が1週間から2週間も続くのが特徴的で、
体力を消耗し、無気力な表情(チフス顔貌)となっていきます。
チフスに罹ったときの高熱による昏睡状態を、
ギリシャの医聖ヒポクラテスが、
「ぼんやりした、煙がかかった」を意味する
ギリシャ語Thpusと書き表したのが病名の由来です。
ホメオパシーの全盛期、ケント博士の時代には、
脳の炎症の後、ぼーっとして、記憶力が弱く、不活発で、
無力な状態にこのレメディがよく使われたようです。
このレメディの一番の特徴は、感覚器官の鈍さです。
このレメディはハーネマンがプルービングしましたが、彼は、
「目が悪いわけではないのに、見えていない。
耳が、悪いわけではないのに、聞こえていない。
味覚器官が悪いわけではないのに、味がわからない。」と、書き残しています。
感覚器官は、正常だが、脳が侵されたために起きる感覚器官の鈍さです。
ぼーっとして、無関心、思考も行動も遅く、鈍い、忘れっぽく、
何も覚えられない、頭が空っぽで、周囲の状況を理解できない無力感。
このような状態は、頭部外傷からも、起きることがあります。
以下の症状でも有名です。
HEAD; INJURIES of the head, after (頭の怪我以来の不調)
人間にとって、最も重要な頭部の外傷や、
チフスのような激しい感染症によって、全身、高熱で苦しむうち、
「脳」という中枢部分が侵されていくというのは、最悪の状態です。
Helleborus niger.の略語Hell.というのは地獄。
身体の問題だけでなく、精神的にも、ぞっとするような状況の下で、
外側の世界をシャット・アウトしてしまったというのが、Hell.の無感覚と言えます。
現実が厳しすぎて、引きこもり、無感覚になるという点では、Op.(オピウム)にも似ています。
Op.は、現実の厳しさに絶望して、阿片屈に引きこもり、無感覚になるイメージです。
また、Hell.は、Staph.(スタフィサグリア)
Acon(アコナイト)Puls.(プルサティラ)など
非常に敏感なレメディグループのキンポウゲ科に属します。
敏感なキンポウゲ科に属しながら、
Hell.は、他とは真逆の「鈍感さ」「ぼーっとした。」という感覚をもつレメディです。
世界は、今を底に、これから次第に、明るくなって行きます。
今年も私のつたないメルマガを読んで頂き、ありがとうございました。
では、みなさん、良いお年をお迎えください。
ホメオパシーでのシェディング対策
2024年10月から、秋の定期接種が始まりました。
私(荻野)自身も2年前から、人混みに行った後に、急に体調が乱れることが起きるようになりました。おそらく、これが、シェディングなんだろうと思います。個人健康相談者の中にも時々、これまで元気だったのに、急に不調が起きたというご相談者もおられます。
今春には、「流行病下で健康に生きる」セミナーを開催し、その際に、シェディングの実例とホメオパシーによる改善事例をご紹介させて頂きました。
ただ、決まり切った対処法というものはありません。ホメオパシーの基本通り、「個別性」と「全体性」に注目して、その時に必要なレメディを探すことになります。ホメオパシーの基本を理解している人なら、さほど難しいものではありません。
シェディング対策のセミナーも実施しましたし、その後の世間の動きから、いろいろ考えてみましたが、ホメオパシーの基本を学んで頂きながら、個別相談的に、一緒に考えて行くのが、一番良いのではないかと思うようになりました。
それで、10月から新規開講する「基本講座」の時間内に、時間が許す限り、シェディングの個別相談をお受けしてみようと決めました。
もし、シェディングでお悩みの方で、ホメオパシーでの対策にご興味・関心がある方は、ぜひ、10月開講の「基本講座」にご参加下さい。Zoom受講も出来ます。
京都ホメオパシー基本6回コース(木曜日)(10/10~1回目)Zoom受講可!|クラシカルホメオパシー京都 (chk-homeopathy.jp)
京都ホメオパシー基本6回コース(土曜日)(10/12~1回目)Zoom受講可!|クラシカルホメオパシー京都 (chk-homeopathy.jp)
なお、基本講座とは別に、みなさん、お一人一人のお困りごと沿ったセミナーを開催予定です。「シェディングについて考えてみる」ホメオパシー勉強会を、まずは、年明け1月13日(祝)からはじめてみようと企画中です。
「ホメオパシー(6回)基本講座」(10月開講)開催中!
10月から「ホメオパシー(6回)基本講座」を開催中です。途中参加歓迎です。木曜日コースと土曜日コースです。
いずれも、Zoom受講可能です。詳細は、お尋ね下さい。
超初心者のための「はじめてのホメオパシー」は、次回3月29日(土)と4月初旬(日程調整中)に予定しています。
〇木曜日コース
京都ホメオパシー基本6回コース(木曜日)(10/10~1回目)Zoom受講可!|クラシカルホメオパシー京都 (chk-homeopathy.jp)
〇土曜日コース
京都ホメオパシー基本6回コース(土曜日)(10/12~1回目)Zoom受講可!|クラシカルホメオパシー京都 (chk-homeopathy.jp)
『子供の健康を考える~予防とホメオパシー』と今月のレメディ『Alumina (Alum.)』
こんにちは、CHK荻野千恵美です。
11月4日(祝)に、CHKでは「子供の健康を考える~予防とホメオパシー」
というテーマでセミナーを開催させていただきました。
今回で、3回目の開催になりました。
教室参加の方、Zoom参加の方、どちらも、それぞれ15名ほど集まって頂き、
講師と参加者一体となって、ともに考える時間を過ごすことができました。
前半(10時~12時半)は、CHK講師の松本美紀さんが担当されました。
https://treeofchild.com/about/
美紀さんは「子供とお母さんの健康」をテーマに
母親の視点からの活動を長く続けてこられました。
彼女の関心は広く深く、東洋医学、自然療法、海外での様々な学びも経験されています。
ホメオパスとしても実力派で、大勢のお母さんたちからの信頼は厚いものがあります。
今回セミナーでは、子供の病気を「予防」という観点から
考え直すことから始まりました。
引き続いて、ワクチンの歴史、感染症の罹患者数の変遷、
公衆衛生との関係性などについて、
データに基づいた資料をもとにわかりやすく解説されました。
我が子を愛するお母さんの心には、心配や不安がわいてくるものです。
そして、不安は、いつの間にか、カチカチになってしまいます。
お母さんの、固い氷のような不安を、暖かく溶かしてくれる
お日様のような美紀さんに、元気をもらった方は多かったと思います。
午後からは私たち夫婦が担当しました。
CHK主宰の荻野が、子供の感染症へのホメオパシー的な対処法についてお話しました。
ホメオパシーのこと何も知らない方から、CHKを卒業して臨床をしている方まで、
すべての参加者の方がそれぞれに応じて納得し満足して頂ける内容だったと思います。
ホメオパシーには、大切な4原則があります。
1つ目は、類似の法則に基づくこと。だからこそ、根治を期待できるということ。
2つ目は、希釈浸透したレメディを使い、できる限り、単一で最少量を使うこと。
それは、人の一番大切な生命力に対するアプローチだからです。
3つ目は、部分ではなく、その人全体を見ること。
その人をまとめる生命力は、その時、その場で、ただ1つだからです。
4つ目は、個別性。同じ病的影響を受けても、それに対してどのように病んでいくか、
あるいは元気でいられるのかは、人それぞれ違います。その違いを大切にすること。
これらの原理原則をベースに、自分自身が体験したこと、ホメオパスとしての臨床で
経験したことをお話しました。
子供たちの健康への思いを込めてお伝え出来たのではないかと思います。
最後に私も、小児病で活用される植物レメディ6つについてお話をさせて頂きました。
専門コースでの授業と同じ、私のスタイルです。
まずは、レメディの原料となる植物の生息地、姿形、あり方の特徴、
特性毒性を画像などを使って知って、感じてもらいます。
そのあと、ホメオパシーのマテリアメディカ(薬効書)を見ると、
その植物の特徴が、そのまま、レメディの記述と重なるのがわかります。
そして、レメディと似た症状を持つ人がいれば、その人を健康な状態に戻してくれます。
これが、類似療法、ホメオパシーです。
人間の苦しみが、自然界の様々なものに表現されている・・・
不思議だと思いませんか?
朝10時から、昼食時間を挟んで、夕方5時まで。
長丁場のセミナーでしたが、皆さん、最後まで熱心にお付き合いくださいました。
参加者の皆様には、ただ感謝です。とても、楽しい1日でした。
さて、
今月は、酸化アルミニウムを原料とするレメディをご紹介します。
私のブログでも、ご紹介しています・
『Alumina (Alum.)』
アルミナは、酸化アルミニウムを原料とするレメディです。
酸化アルミニウムは、もともとは、ボーキサイトとして存在します。
ボーキサイトは、中国、ブラジル、インドなどの鉱山で産出されています。
鉄ばん土と呼ばれ、鉱物というより、
赤褐色をした、柔らかい粘土が固まったようなものです。
ボーキサイドからまずは酸化アルミニウムを作ります。
酸化アルミニウムは白い粉状のもので、陶器を作るときの粘土の原料にもなっています。
アルミニウムは、酸化アルミニウムから作られますが、
アルミニウムを作るのには、多量の電力が必要なため、
日本では、ほとんど作られなくなりました。
ボーキサイトがアルミニウムになるまでは、
以下のサイトがとても分かりやすく説明してくれています。
https://www.shisaku.com/blog/anatomy/post-113.html
アルミニウムが発見された当初は、電力が高価だったため、
粘土からできた「銀」として宝石の1つに並べられていました。
ナポレオン3世は、大切な客には金銀より、アルミの食器を使ったそうです。
https://diamond.jp/articles/-/268010
アルミニウムは、医薬品、建築のサッシや外壁、自動車部品、
貨幣(1円玉)、調理器具、食品添加物、飲料水の浄化剤など広く使われており、
私たちの生活にはなくてはならない存在です。
特性は、軽い、強い、耐久性が良い、加工しやすい、電気をよく通す、
光や熱を反射する、磁気を帯びない、熱をよく伝えることなどです。
その毒性は、中枢神経に現れます。アルミ二ウムが脳に過剰沈着すると、
言語障害、痙攣、行動異常、記憶低下、痴呆などとして現れます。
それ以外では、便秘、皮膚や粘膜の乾燥、発汗の減少などもあります。
また、酸化アルミニウムは、天然ではコランダム(金剛砂)として存在します。
極端に硬いので、金属やカラスの研磨剤として使われます。
コランダムに鉄やチタンが含まれているとサファイアとなり、
クロム化合物が含まれているとルビーとして存在します。
https://www.infonix.jp/genre/rough/stone/corundum/
CHK専門コースの授業では、原物質についての予習をして頂きます。
レメディ学習では、まず、調べてきていただいた情報を
ホワイトボードに書き込んでいきます。
それらを書き出して、みんなで、全体を眺めて、
原物質から立ち上がるエネルギーを感じてみます。
重い? 軽い?
乾いている? 湿気ている?
熱い? 冷たい?
寂しそう? にぎやか?
このレメディにマッチする人は、
世の中では、どんな立場や役割を果たしていそうかしら?
身体では、どんな症状で悩んでいそうかしら?
こういったプロセスを経た上で、マテリアメディカを開いてみると、
無機的とも思える症状の羅列が、生き生きと有機的に見えてきます。
レメディのもつ、様々な症状どうしが、不思議なつながりを見せ、
生きている一人の人間像として立ち上がってきます。
そこまで来たところで、身近な、誰かの顔が浮かんでくる人がいてくれたら、
授業は盛り上がり、レメディは記憶するべきものではなく、印象付けることができます。
アルミニウムは、私たちの生活のありとあらゆるところで使われ、
なくてはならない存在です。健康的な、Alum.の人は、
このようなあり方で、社会を支えてる大多数の人だと思います。
アルミニウムの特性は、軽い、強い、耐久性が良い、加工しやすい、
電気をよく通す、光や熱を反射する、磁気を帯びない、熱をよく伝えることなどです。
さまざま特技を持って社会を支えている人なのかも知れません。
ずっしり重い責任を背負った人ではなさそうです。
Alum.の典型的な精神症状の一つが・・・
MIND; CONFUSION of mind; identity, as to his
精神の混乱;自分のアイデンティティ
・・・です。
この症状が見られる場合は、かなり病んだ状態にあると思われます。
レパートリー(症状別レメディ検索辞書)ではこの症状には、
たくさんのレメディが並んでいますが、Alum.が一番強調文字で
記載されています。
酸化アルミニウムの白い粉は、陶器の原料です。
これから自分はどんな食器になるのか?何になるかは、作家さん次第です。
コランダムは、金剛砂とも呼ばれ、ダイヤモンドに次ぐとても硬い鉱物です。
純粋な状態では無色透明。硬いのが取りえで研磨剤の原料になります。
でも、含まれる物質によって、サファイアにも、ルビーにもなります。
どのような宝石になるかどうかは、同時に含まれる物質次第。
ナポレオン三世の時代には、酸化アルミニウムの白い粘土は加工され、
銀よりも高価なものになりました。
でも、皿になるのか、スプーンになるのか、はたまた宝飾品になるかは、
作り手次第。
アイデンティティの混乱。
私は、何?どうしたらいいの?
こういった精神状態では、自分をコントロールすることができません。
精神は、鈍くなってしまいます。
ぼんやりとして、決められたこと以外のことをするのに大変なストレスを
感じてしまいます。
何をするのにも、時間がかかります。
考えることが苦手で、記憶力も弱ります。
自我の不安定さは、時に自殺傾向に結びついたりして、
それゆえに、ナイフや血を異常に恐れたりします。
神経系のコントロールの喪失は、麻痺や運動失調、眼瞼下垂などの症状を起こします。
消化器系のコントロール喪失は、便意の感覚麻痺からくる便秘や食欲異常、
異嗜(通常は食べ物ではないものを食べようとすること)を起こします。
ジャガイモのようなでんぷん質の消化もうまくできません。
皮膚は乾燥しています。
乾燥していて、運動機能を失うというと、高齢者のイメージ。
精神が鈍く、記憶力が乏しいといえば、認知機能低下症。
高齢者だけかというと、意外に虚弱な未熟児にも使われてきました。
ホメオパシーの個人セッションにいらっしゃる方の中には、
壮年期の女性の方も、このAlum.を必要とする方が、結構いらっしゃいます。
主訴は、皮膚や消化器の問題だったりします。
でも、その内面にある乱れの中心が、このレメディを指示していることが
よくあります。
過干渉なご両親のもとで育った人。
親の望むような人間になることを強く押しつけられたような人。
子供時代に個性やアイデンティティを、親に押し込められてしまった人。
自分は本当は何をしたらよいのか?どうありたいのか?わからなくなっているような人。この状態がひどくなると、絶望感から、自殺衝動にまで行ってしまうこともあります。
インドの巨匠サンカランは、このレメディを、Aur.(金)やMerc.(水銀)同様、
Syphilis(梅毒)マヤズムに分類しています。
それは、人間にとってもっとも大切な希望というものを失っているからです。
『2024年 第16回 CHK国際セミナー』(荻野千恵美)
今年も、9月14日15日の二日間にわたって、
国際セミナーを開催することができました。
コロナ禍以前は、大きめの会場を借りて、CHK全学年の生徒さんだけでなく、
CHKや他校の卒業生、がそろって受講する、お祭りにも似た行事でしたが、
最近は、オンライン(Zoom)受講が中心となりました。
すこし寂しいですが、北海道から沖縄までの生徒さんたちが自宅でリラックス
して学べるようになったのは、やはり喜ばしいことなのでしょう。
国際セミナーの講義をジェレミー先生にお願いするのは、2017年から今回で5回目。
https://www.chk-homeopathy.jp/past-international-seminar
先生のセミナーは、長年ホメオパシーの臨床や学びを続けてきた人から、
今年初めて国際セミナーを受ける初心者まで、すべてを満足させてくれます。
セミナー後には、今年入学したばかりの1年生の生徒さんから
「すっかりジェレミー先生のファンになりました。」というメールをいただきました。
ジェレミー先生が、ホメオパシーの知識レベルの違う人たちをすべて満足させ、
ファンにまでさせることができるのは、なぜでしょうか?
私は、先生のホメオパシーが、豊かで力強いからだと思っています。
それは、ホメオパシーの土台がしっかりしているから。
その土台は、先生がいくつものレメディをプルービングし、
新しいレメディを誕生させてきた経験の積み重ねによるものだと思うのです。
今回のセミナーで「プルービングに時間を費やさない指導的ホメオパスたちの
多くは、論理によってホメオパシーをとらえようとしすぎてしまう。
プルービングがないとホメオパシーはドライになってしまう。」と
おっしゃった先生の言葉は、私の心に響きました。
今回は、ホメオパシーの4つの原理、「類似の法則・最小投与・個別性・全体性」
を「火・風・土・水」の四大元素を使って、これらを処方の際、いかに有機的に
考慮していくかについて、オルガノンの具体的な個所を示しながら教えていただ
きました。
不思議ですが、イスラエル人のジェレミー先生から、ドイツ人医師のハーネマンが
作り上げたホメオパシーを、学ぶとき、私はいつも、東洋的な静かで深い知恵を
感じます。
その感覚は、先生の講義を受けるたびに、私の喜びとなっています。
今回は、会場となった四条教室で、先生がプルービングをされた希ガスのレメディ
の本を販売させていただきました。
“Helium” “Neon” “Argon” “krypton” です。
私もジェレミー先生が主催されたダイナミススクール・JAPANの生徒として、
2020年にプルービングに参加しましたが、あの体験を受け取め、まとめるのは
大変厳しいものです。
数十人の人に現れた膨大な症状を整理・統合し、
1冊の本にするのには、数年間かかるそうです。
1冊の本にまとめたところで、初めて新しいレメディは誕生します。
新生児のように、多くの人を助ける旅をスタートさせ、次第に成長して行きます。
今回のセミナーは、長く学んできた参加者の方々にとっては、
ホメオパシーのすばらしさの再発見であったのではないでしょうか。
そして、まだ学び始めたばかりの人にとっては、これからも頑張って勉強しようと
いうモチベーションアップになってくれたと思います。
先生には、ただ感謝です。そして、毎回のことですが、このセミナーを企画して
くださる吉川真希さんと素晴らしい通訳をしてくださる藤崎智子さんには、大感謝です。
お2人のご尽力によって、このセミナーを開催することができました。
本当にありがとうございました。
今月は、ダイナミススクールで学んだとても珍しいレメディをご紹介します。
私のブログでもご紹介しています。
2022年1月24日に投稿した文章からの抜粋です。
ARGON(Arg./アルゴン)
日本でのダイナミススクールは、2019年のゴールデンウイークに始まりました。
そして、2022年1月9日の授業で、最終日を迎えました。
最後の授業で教えていただいたレメディが、ARGON(Arg./アルゴン)でした。
このレメディは、先生がプルービングをし、誕生させた新しいレメディです。
原子番号18
最外殻電子が8個のこの元素は、化学反応を起こして他の元素と結合すると
いうことをしません。希ガスと呼ばれているものです。
20~30年ほど前から、ホメオパシーの世界では、元素周期律表は、人間の発達
段階のレプリカであるという考え方をします。
https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022150069_00000
ジェレミー先生は、レメディを理解するときのツールとして周期律の考え方を
大切にされますが、とりわけ希ガスについての理解を重要視されていて、
ダイナミススクールでは、いくつもの希ガスのレメディが、
プルービングされています。
私たちは「希ガスは、その列の完全な姿であり、次の列への橋渡しである。」
と教わりました。
アルゴンは、周期律第3列のレメディです。
第3列は、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリカ、燐、硫黄、
塩素、アルゴンという順序で元素が並びます。
第3列のすべての元素は、ホメオパシーでは、子供の発達段階に相当し、
人間関係・アイデンティティ・世話・養育といったテーマに関係があると考えます。
1番目のナトリウムNAは、アイデンティティがまだ育っていない感覚。
誰かを頼って、その人と一つに強く結びつきたいという、強い依存心。
まるで、母親に依存しきった乳幼児のように。
マグネシウムMGは、親からの愛や世話を望みながらもほとんど得られない依存。
そこには怒りや苛立ちをともないます。
100年前の米国のケント博士は「Mag-c.は孤児のレメディ」と称しました。
アルミニウムALは、もう少しアイデンティティは育ち始めているものの、
まだ十分ではなく、混乱状態の中にある。
シリカSIはこの列の中央あたりに位置する、お姫様のような存在。
周期律表の真ん中の高いところにいる(ホメオパシー的周期律では)ので、
他人の評価が気になって仕方がありません。恥ずかしがりで頑固です。
燐Pになると、エゴが育ち完成し、依存してきた家族から離れて、
友達を探しに外に出ていきます。
硫黄Sはエゴのレメディ。家族なんて、ばかばかしいと我が道を行くやり方で進みます。
塩素CLは依存していた人の愛情を得られず、悲しみと恨みを持っている。
人間の成長で例えると、第3列は生まれて、家庭や地域、学校で養育や教育を受ける
段階に相当します。
次の4列になるといよいよ社会に出ていき、仕事をして役割を担う段階となります。
アルゴンAGは第3列の最終段階で、次からは第4列に移っていくという位置にいます。
保護者に守られ自己を育てるというテーマにおいての完成形です。
子供の世界の理想の姿をイメージすることもできます。
ネバーランドという夢の国の住人のスーパーヒーロー、ピーターパンが
イメージキャラクターです。
彼は魔法の国に住んでいて、空を飛ぶことができます。
ウェンディと恋に落ちますが、何もしません。
永遠に子供の世界にいる人なのです。
ネバーランドでは、海賊のフック船長が悪者です。
彼は、ワニに足を食べられて義足です。
そして、そのワニは時計も飲み込んでしまいました。
フック船長は、時計の音を聞くと、ワニがくるといって怖がります。
時間を知らせる時計をワニが飲み込んだというのが、とてもアルゴンらしいです。
時間は、あらゆるものを古くしてしまうもの。子供を大人にしてしまうものですから。
アルゴンの人は、社会に出て、結婚して、職場や家族への責任を負うことを拒みます。
時間を止めたい!
子供時代にしがみつこうとします。
アルゴンという名前はギリシャ語の「怠惰」「不活発な」というところからきています。
化学反応をおこさない性質からそのような名前が付いたようです。
アルゴンは、他の元素と結びつかないので、酸素とも結びつくことがありません。
ですから酸化しない物質。
保存剤として使われていたようです。
古い電球にはアルゴンが保存剤として使われていました。
アルゴンもダイナミススクールでプルービングしていますが、「電球の中にいる。」
「私が光っていると言われ続けた。」という感覚をもったプルーバーもいたようです。
プルービングから得られた情報のごく一部が紹介されました。
高いエネルギーと疲労。
干からびた喉の渇き。
頻繁で多量の排尿。
緊急で突然の下痢、爆発的かもしれない。
一人になりたい。
穏やか。
完璧主義。
真実にまっすぐ。
垂直の結合VS水平な不活性
自分は完璧なのでほかのものと混じることはない。
完成した感覚。
食べ物も何もいらない。
クリームをなめた猫のような満面の笑み。
致命的なことはおこらず、うまくいく。
損失、事故も大丈夫。
すべてが霜の花におおわれているよう。
色と美しさの理解が深まった。
霧に包まれた山のそばのプールでの魔法のような泳ぎ。
誰かが私に面白い冗談を言ってくれた。
私は笑いながらヒステリーを起こしそうになった。
暖かく安全なものに包まれていたい。
最後に、ナットムール(Nat-m.岩塩)である程度よくなったけれど、
治りきらない3歳の男の子のケースを紹介していただきました。
夜通し乾いた咳をする子。
尿を我慢する。
欲しいものを言わない。欲しがらない子。
赤ちゃんの時は、おとなしく、静かな子で要求しなかった。
1歳半でしゃべる賢い子。
幼稚園では、仲間に入っていかない。
同年代の幼児は苦手で、大人のほうが好き。
音楽好き。
口は達者でウイットに富む。
混ざったものが嫌で、強迫観念的に片付ける。
ナットムール200cからアルゴン200cに変えると、症状は良くなり、
心を開いて、幼児たちとも遊ぶようになったそうです。
ナットムールの原料は塩化ナトリウムNacl。
第3列の1番目のナトリウムと7番目の塩素の化合物です。
ナットムールは、どちらもイオン化傾向の強い元素のナトリウムと
塩素が結びついて、完璧になろうとするもの。
一方、アルゴンは、単独で完璧な存在。
似ているけれど・・・どう違うのでしょうか?
ナットムールは、完璧でない関係への悲しみであるのに対して、
アルゴンは完璧な愛への悲しみ、だというお話でした。
どちらも、閉じている人。とても似ていて、でもずいぶんと違う。
ホメオパシーって面白いなあ~
そんな気持ちにさせてもらえる学びでした。
過去に実施してきた国際セミナーのページ作りました
過去に実施してきた国際セミナーのページ作りました。
国際セミナー|クラシカルホメオパシー京都 (chk-homeopathy.jp)
CHKでは、2007年の学校設立以来、海外の実績と実力があるホメオパスを招聘して、在校生向けおよび一般公開してのセミナーを開催してきました。2020年~2023年までは、パンデミックのために、オンライン開催となりましたが、受講生にとって、なくてはならない大切な時間になっています。
今年2024年9月にも、無事に開催終了したところです。
『Spongia tosta (Spong.)』海のレメディ・咳のレメディ
こんにちは、CHK荻野千恵美です。
まだまだ厳しい夏の暑さが続いていますが、京都では夏の行事「五山の送り火」が終わってしまいました。
「五山の送り火」は、毎年8月16日の夜。
お盆をしめくくる伝統行事です。
迎え火によって現世にお迎えした祖霊(お精霊さん)を再び浄土(死後の世界)に
送るという意味があります。
17年前、CHKの立ち上げとともに、兵庫県から京都に引っ越ししてきたばかりの頃は、
私たちは旅行者の気分で過ごしていましたので、眺めが良いというスポットを教えて
もらっては、送り火見物に出かけたものでした。
しばらくして、両親が2年ごとに亡くなっていきました。
それから、送り火は私にとって、今までとは違ったものになりました。
父と母がなくなって間もなくの頃、父と母が、私の立っているこの地面から離れて、
空高く、ご先祖様たちがいるところへ行ってしまったということを「送り火」の
炎を眺めているときに、ようやく受け入れられた気がしました。
その後、送り火を眺めていて、夏の夜風が私の頬を撫でた瞬間ふと、私も、いつか
父母や祖父母たちのいるところに行くのだということに、気が付きました。
京都の夏は、盆地特有の暑さで、夏の盛りには、四条教室のあたりは、まるで
お湯の中を歩いているかのような気分になります。
もう、我慢できないので、湯船から出たい・・・でも、出ることを許されずに、
辛抱しているような気分です。
今は、そんな日々が早く終わってほしいと願うばかりですが、ごくたまに、吹いて
くる風に、秋の気配を感じるとき、なぜか寂しくなってきます。
不思議に冬の辛さから解放される春先には決して感じることはないのですが・・。
家族と過ごした夏の小さな旅が、待ち遠しいものから、思い出の写真になる
寂しさなのかもしれません。(※写真は2024年8月の琵琶湖花火大会のもの)
学校に通う子供達には、まだ、数日間の夏休みが残っていますね。
皆さま、どうか、過ぎ行く夏の日々を大切にお過ごしください。
さて、まだまだ熱気と湿気の多いこの時期ですが、今夏は日本のあちらこちらで、
咳を伴う風邪が流行っていると聞きます。
今月は、少し珍しい咳のレメディをご紹介いたします。スポンジアSpongです。
私のブログでも、ご紹介しています。
https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12858467165.html
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Spongia tosta ( Spong.)
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レメディの原料は、地中海産の海綿(カイメン)を焙煎したものです。
Spongia tostaのtosta は、焙煎という意味です。
海綿は、原始的な動物で、これがスポンジになります。
スポンジといえば、私は、石油製品のものしか知りませんでしたが、ヨーロッパでは、
海の産物、海綿で、身体や顔を洗ってきたようです。
数年前になりますが、専門コースで、このレメディを勉強していた時、もう若いころ
からずっと海綿を使ってきた人がいました。彼女は、長持ちするし、とても心地よい
と言っていました。
ネットでも、買えるようです。
http://tennen-sponge.com/kaimen/kaimen1.html
CHKの四条教室にも、上記のサイトから入手して置いていますが、天然の海綿は、
とても軽くて乾いています。子供がこれを見つけると、つい、ボールのように
投げたくなるような、ぎゅっとにぎりたくなるような。柔らかく優しい感触です。
海綿は、無数の小さな穴が開いていて、人間の体でいうと「肺」に似ています。
レメディの症状の中心も「呼吸器」で、古くから使われてきた咳のレメディの一つです。
吠えるような空咳。
木をのこぎりで切るような音の出る呼吸と咳。
呼吸困難や、窒息感を伴う咳。
真夜中前頃に悪化する咳。
暖かい飲み物や食事で改善しますが、乾燥した冷たい空気で悪化します。
肺のそばにある「心臓」にも症状を持ちやすいレメディでもあります。
甲状腺にも関係が使いレメディです。甲状腺は、海由来の多くのレメディと関係が
あります。
甲状腺の問題を持ちやすいのは、
Iod.(イオダム/ヨウ素:海藻に多く含まれています。)、
Nat-m.(ナット・ムール/岩塩)、
Calc.(カルク・カルボ/牡蠣の殻)。
甲状腺のレメディは、ほかにもたくさんあるのですが、これら三大甲状腺レメディが、
「海」由来なのは、不思議です。
海綿は、浅い海の岩礁の下の日の当たらないところに群生しています。
成長はゆっくりで、寿命も長いそうです。
海綿は、成長がゆっくりで、濾過摂食する生き物です。
動物なのにじっとして動かないというのは、まるで牡蠣のよう。
海綿と牡蠣が似ているように、レメディのSpong.とCalc.も似たところがあります。
どちらも寒がりで、風邪をひきやすく、腺の病気を持ちやすい人です。
スポンジは、無数の穴が開いているという点では、木炭にも似ています。
木炭を原料とするCarb-v.(カーボベジ)は、消化器が不活発で鼓腸のレメディとして
有名ですが、酸欠のレメディでもあります。喘息や呼吸困難など、呼吸器症状にも
活用されてきました。
Spong.は、クラシカルホメオパシー京都では、4年次に学ぶレメディです。
ホメオパシーの専門コースでは、たくさんの精神症状や身体症状を持ち、古くから
使われてきたポリクレストレメディ(広く多くの症状に使われる)と言われている
ものから学び始めます。
とても個性的で、特徴がはっきりしていて、汎用性があります。
でも、それではカバーできないとき、Spong.のようなレメディは大きな力になって
くれます。
私がホメオパシーを学び始めたころですから、もう20年以上にもなりますが、
私自身、思春期の頃からずっと鼻炎の症状がありました。
体調が良いときは大丈夫なのですが、少し乱れると、すぐに鼻水が絶え間なくでる
ので困っていました。いつも2~3個のティッシュを、バックに準備していました。
洟水が出て苦しんでいた日、主人にたずねられるままに、そのときの特徴的な症状を
伝えました。どのような症状を言ったかは覚えていないのですが・・・。
彼はそれらをCPレパートリーで検索してくれました。
検索上位のうち、いくつかのレメディのマテリアメディカで読み比べて、Spong.を
飲んでみることにしました。
Spong.を飲んでまもなく、私を悩ませていた症状は消え去り、その後、ティッシュを
必要としない生活をしています。
たった一粒で、私はティッシュから自由になりました。
このレメディと私との類似性って?
海綿と、私の類似性。考えると楽しいです。
鉱物のような動物。
じっと動かず、少しづつ海水中のプランクトンなどを濾過摂食して暮らしています。
私も、そういったタイプです。確かに。能動的、積極性は少なく、どちらかというと
受け身的です。
森井先生の「臨床家のためのマテリアメディカ」のこのレメディのMIND症状の記述は、
たったの4行。
・美味しいものや珍味が大好き。・・・まさに、私!
・非常にお腹がすきます。・・・空腹はほとんど感じたことがありません。でも、
食べることは好き。
・喉も渇きます。・・・はい。
・甘いもので悪化。・・・悪化はないけど、あまり好きではありません。
私は、大まかにいうと、体質的に、冷えて乾いた人です。
Spong.も、熱い飲み物や暖かい食べ物で好転し、乾燥した冷たい風で悪化します。
このSpong.1粒で、私のすべてが解放されたわけではないですが、健康レベルは
一段上がったと思っています。
そして、ホメオパシーへの期待度はより高まりました。
今も楽しく学び続けているのは、ホメオパシーの恩恵を自分やクライアントさんを
通じて実感し続けているからだと思います。
『Adamas.ダイヤモンド由来のレメディ』
こんにちは、CHK荻野千恵美です。
私が還暦を迎えた年に生まれた初孫は、この春、小学生になりました。
幸い今年は、桜の開花が遅かったおかげで、満開の花の下で、入学式ができました。
私は、硬い枝先から柔らかな花びらが突然あふれ出し
花の季節が始まる4月~6月が一番好きです。
桜の次は、ツツジ、ハナミズキ、タンポポ、菜の花、藤と続きます。
桜が終わるとすぐに、ツツジが白や薄ピンクまたは濃いピンクの花を咲かせます。
タンポポは、人に踏みつけられるような場所でも、黄色い花を、元気に咲かせています。
そして、5月の連休過ぎからは、街路のハナミズキが次々と様々な色の花をつけます。
自分では育てることができないのですが、我家から駅に向かう途中には、
見事なバラを咲かせている家が多くて、とても楽しいです。
どれくらいの年月育てたら、このように美しく育てられるのだろう?
育てている人は、どんな言葉をかけているのかな?
道行く私たちを楽しませてくださる園芸好きの方々には、ただ感謝です。
6月に入ると、アジサイが咲き始めました。
アジサイは、丈夫な花なので、大切に育てられているものも多いですが、
雑草として、ほったらかしにされても毎年元気に咲くものも多いと聞きます。
先日、近くの商店街を歩いていたら、たくさんのアジサイが並んでいました。
「お好きな方は、ご自由にお持ちください。」とあり、迷わずいただきました。
湿気や雨の日が苦にならない私にとっては、アジサイが咲く6月は、
厳しい暑さの前のつかの間の季節。
“June Bride”「6月の花嫁」という言葉は、
梅雨のないヨーロッパから、やってきました。
この習慣は、ローマ神話が由来で、結婚の女神ユノが、
6月を守護していることから来ているそうです。
ヨーロッパでは、6月に結婚した花嫁は生涯幸せに暮らせると言われてきました。
娘も、つい先日、“June Bride”にあこがれた、友人の結婚式に招かれ出席しました。
今月は、“June Bride”にちなみ、結婚指輪に使われる、
ダイヤモンドのレメディをご紹介したいと思います。
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『Adamas.ダイヤモンド由来のレメディ』
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先日、専門コースの4年生の授業でこのレメディを担当しました。
原料はダイヤモンドです。
尊敬するジェレミー・シェア先生が、
ダイナミススクール(ジェレミー先生が運営する国際水準のホメオパシー
の大学院みたいな学校)の生徒たちとプルービングし、誕生させたレメディ
の一つです。
ホメオパシーの創始者ハーネマンは、当時の特効薬でもあった
薬草や鉱物などを中心にプルビングをしていきました。
ハーネマンより200年後に生まれたジェレミー先生は、
現代社会の複雑な人間模様を反映したようなものを、多くプルービングしています。
ダイヤモンドは、その中の1つです。
Adamas.を勉強するときは、いつも、ダイヤモンドについて感じていることを
生徒さんたちに言ってってもらうところから始めます。
ホメオパシーを学ぶ人は、ほとんどが女性なので、毎回、話が盛り上がります。
まずは宝飾品としての美しいダイヤの画像を見ていただきます。
その後、原石である金剛石の画像。
https://www.tsuguco.com/items/84679571
最後に、「デビアス社」の物語。
https://beprice.jp/blog/about-debeers/
かつてダイヤの原石が大量に発掘されるようになり
値崩れが起きかけたときがありました。
そこで登場したのが、デビアス社です。
彼らは、採掘量から出荷量までコントロールし、
価格や売り上げを維持できる仕組みをつくりました。
「ダイヤモンドは永遠の輝き」は、商業的にもっとも成功した
キャッチコピーだそうです。
巧みなマーケティング戦略で、
世界中の女性にうっとりするような幻想を持たせるビジネスモデル。
ほんとうに驚いてしまいます。
これらのダイヤモンドにまつわる情報から、このレメディにふさわしい人は
どんな人かをみんなでイメージして行きます。(簡易プルービング)
その上で、マーフィーMurphyのマテリアメディカを読んでいきました。
まずは、Adamas.の人に起きやすい病気について・・・特に精神症状を丁寧に
読んでいきました。
そして「ざっくり、どう病んだ人かしら?」について話し合ってみました。
それらを、ホワイトボードに書いていくと、
どこかで、すでに勉強したようなレメディ像に似た感じが、出てきました。
あのレメディに似ているね。そういえば、あのレメディにも、似たところがあったよね。
ジェレミー先生が、既存のレメディではカバーできない人のために、
誕生させたレメディですから、当然なのかもしれません。
過去に学んだレメディの復習ができて、楽しかったです。
特に黒鉛(鉛筆)由来のレメディGraph.グラファイトとは、似た症状が
たくさんあります。
優柔不断。自己価値への疑問。皮膚症状。音楽に敏感で涙もろい。
鉛筆の芯の原料の黒鉛と、キラキラと美しく輝くダイヤは似ても似つかない姿ですが、
炭素元素の分子構造はそっくりです。
Sil.シリカ(水晶)やBar-c.炭酸バリウム(毒重石)とも多くの共通点があります。
Sil.とBar-c.の特徴は、頑固で、融通が利かない。
寒がりで、風邪をひきやすい。
自信がなく、人に見られることに敏感。
原石の画像を比べるとこちらもそっくりです。
Sil. 水晶 https://malulani.info/column/stone-dictionary/4828.html
Bar-c. 毒重石 https://meostone.iza-yoi.net/carbonate/witherite01.html
Adams. 金剛石 https://www.tsuguco.com/items/84679571
Sep.(コウイカ) Puls.(ウインドフラワー) Cimic.(ブラックコフォシュ)にも
似たところを見つけました。女性に関係の深いレメディ達です。
Adam.は、皮膚とホルモンに影響を受けやすいレメディでもあります。
似たレメディとAdam.を比較することで、
このレメディの特徴は、浮き彫りになってゆきました。
ダイヤモンドは、宝飾店の主人公です。
若い男女が婚約指輪を買い求めに行った時、
彼らは、美しいガラスケースに並ぶ光り輝くダイヤモンドに目を奪われます。
そのときだれも土台のプラチナには目もくれません。
でも、本当に価値が高いのは、プラチナなのです。
採掘量が非常に少ない貴金属で、
宝飾品以外にも工業製品としても多くの需要があります。
ダイヤモンドに加工される前の金剛石は、硬く油じみた姿をしています。
金剛石は、採掘量の多い鉱山が見つかって以降、本当は希少価値もあまりありません。
でも、デビアス社のビジネスモデルの成功により、
価値あるものとして宝飾店の主役としてまつり上げられました。
こういったダイヤの側面が、Adamasを必要とする人の精神症状に反映しています。
自己価値感の低さ。
能力が高いとはいえないのに、姿は美しく輝き、富や権力のある家族の一員だったり、
奥さんだったりして、高い評価をうけている。
身分や経済的には恵まれているけれど、内面では自信無く辛抱しているような人。
最後にダイナミススクールで、
ジェレミー先生からシェアしていただいたケースを2つご紹介しました。
1つはひどい咳に悩む少年のケース。
様々なレメディを使ってきたけれど、治らなくて、学校にも行けない。
花粉の時期には、くしゃみや鼻水ではなく、咳をします。
何時間も止まらないような咳。
彼を見ていると花粉の時期がわかるほどです。
喉の痛みであれ、風邪であれ、必ず咳になって、それが、ずっと続く。
承認を欲しがり、大丈夫だといって、いつも安心させてもらいたい子。
自分に自信がないので、自分のことを他人に気にしてもらいたいそうです。
ジャガイモ、パスタが大好き。
Adam.やGraph.など炭素由来のレメディの人は、パスタ好きが多いそうです。
Adam.は代表的な「咳のレメディ」の1つでもあります。
ダイヤモンド鉱夫の肺の症状。チリに弱い、咳をする人のレメディ。
この少年は、Adam.で素早い回復ができました。
ビデオケースだったので、元気になって生き生きしている姿も見せていただき、
感激しました。
もう一つのケースは、顔に赤い炎症の斑点がある女性。
顔に紙袋をかぶせたくなるそうです。
生理は常に不順。生理の前は気分が暗くなり、落ち込み、ただ座って、涙が出る。
暗闇や雲に覆われている気分で、外に出ることができない。
怒りと、無気力。
子供たちと夫から逃げて、一人で静かにしていたくなる。
怒りは夫に向けられる。
夫は、成功した医師。友達も多く、おしゃべりで、光り輝くような人。
彼と知り合ったとき、自分がつまらない人間だとわかり、
彼といることが一番大事だと思うようになった。
大学にはいかず、専門学校にして、彼と暮らし始めた。
自信がなく、方向感覚もないので、どこに行ったらよいかがわからない。
私は十字路に立っている。
この女性も、Adam.で心身ともに元気になり、
人生が良い方向に展開していったそうです。
このレメディは、女性なら、気になるレメディだと思います。
私は、このブログには、かつて2回Adam.について投稿していますので、
ご興味ある方にご紹介させて頂きますね。ご参考までに。
2014年(5期生)https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-11920044313.html
2017年(7期生)https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12329966583.html
『Aethusa cynapium(Aeth./イズーサ・セリ科)』
春になりましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
CHKの荻野千恵美です。
1年間、私たちの週末の予定は、ほぼ専門コースの授業になります。
ただ3月だけは、特別セミナーや春の会など開催しますので、週末の予定はありません。
3月31日(日)お天気に恵まれてのんびり自宅の近くを散歩することにしました。
(写真は、琵琶湖疏水の夜桜)
例年なら、琵琶湖疎水も三井寺も、
桜の花びらで埋め尽くされる頃ですが、今年の開花は大幅に遅れていました。
花のつぼみはまだ硬く、用心深げに遠慮がちに、
花びらの開きかけた小枝が、ちらほら見られるだけでした。
咲いている桜はないかと歩くうち長等公園の片隅にある
「三橋節子美術館」に偶然たどり着きました。
https://www.city.otsu.lg.jp/manabi/bunka/nagarasosaku/index.html
さほど有名な方ではありませんが、京都市立芸大の日本画科に進み、
上村松篁や秋野不矩などの大家からの教えを受けた実力派の日本画家です。
彼女は、長等山の麓に居をかまえ、身近な自然や近江の昔話を題材にした
情感あふれる作品を残しています。
病のため、幼子を残して35歳の若さで世を去らなければならなかった方なのですが、
最晩年の作品の前にたつと、彼女の無念さと母としての深い愛情に涙が止まりません
でした。
今月も個性あふれるレメディをご紹介したいと思います。
2018年11月にブログに投稿した記事です。
https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12419963655.html
『Aethusa cynapium(Aeth./イズーサ・セリ科:ドッグパセリ)』
Aeth.は、ヨーロッパからシベリアにかけて原産の
セリ科の1年草植物を原料とするレメディです。
通称、ドッグパセリなどとも呼ばれてきました。
CHKでは、3年次以降で学ぶレメディです。
生徒さんには、事前学習として原物質について調べてもらうことにしています。
生徒のみなさんから発表していただいたことは・・・
・ヨーロッパ中世、コレラの治療に使っていた。
・神経を乱す作用がある。
・間違って食べると吐き気を催す。
・ハーブ療法として鎮静作用に使われていた。
・人間の健康を乱すことがあるが、ヤギ・羊・馬・牛には大丈夫。
などでした。
そのうえで「Aethusa cynapium」の画像を見ていただきました。
https://search.yahoo.co.jp/image/search?rkf=2&ei=UTF-8&gdr=1&fr=wsr_gs&p=aethusa%20cynapium
今までに学んできた、同じセリ科のCic.シキータやCon.コニウムの画像も
映しましたが、どれもそっくりです。
いずれも白いレースのような可憐で繊細な印象を持つ花を咲かせます。
一見した姿はそっくりですが、その症状は似たところもあり、
ずいぶん違っているところもあります。
まるで、顔は似ているけれど、性格や体質はずいぶん違う三姉妹のようなので、
私は、これら3つのレメディをセリ科3姉妹と呼んでいます。
(参照:https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12375665031.html)
ちなみに、ナス科も代表的な3つのレメディ(Bell.Stram.Hyos.)があります。
激しく、暴力性があり痙攣症状という共通症状を3つは、ナス科3兄弟と呼んでいます。
100年ほど前にアメリカで活動したホメオパシーの中興の祖と称される
J.T.ケント博士は、このAeth.イズーサを「夏の乳幼児のコレラ」に使いました。
飲んだお乳が、かたまりになって、口からあふれ出るような激しい嘔吐。
そして大量の緑の便。
激しく暴力的な症状の後、子供は衰弱して眠り続けます。
このレメディのきわだった特徴を表現する症状そのものです。
「暑い気候で悪化」「ミルク不耐性」「激しさ」「嘔吐」「下痢」「衰弱」「嗜眠」
その特徴的な症状からは、
何かが「あふれ出る」ようなエネルギーと、出た後の衰弱という質感を感じます。
関連レメディでは、
「ミルク不耐性」という点では、Sil.シリカに似ています。
Sil.の原料は二酸化ケイ素。自然界には、透明な水晶として存在します。
このSil.に適する人は、異物に対して「排他的」ですが、
Aeth.のようにあふれ出るような激しさはありません。
ミルクのような基本的な栄養物を「拒絶」する。
それさえ受け入れられない敏感で繊細な人。
Aeth.の人の、受け入れられなさは、人間関係や知識などにも及びます。
かれらは他の人とうまく付き合っていくことが苦手です。
引きこもりになりやすいタイプのレメディです。
しかし、強い情感・愛情は持っていて、その情愛は、動物に向かいます。
授業では、このレメディで元気になられた印象的な方のご紹介をしました。
その女性は、猫を飼っていて、避妊手術をすることを受け入れられず、
たくさん子供を産ませてしまい、家族と、もめていました。
ある日、彼女は縁側で猫と遊んでいたのですが、その様子を聞いた家族は、
彼氏と携帯でしゃべっているのだと思っていたそうです。
人間との付き合いは不器用だけれど、動物とは細やかに心をかよわせる人です。
彼女の考えでは、人間は自然を破壊していく存在。
動物は人間に支配される被害者という構造になってました。
でも、彼女は、Aeth.によってだんだん健康になると、
避妊手術へのこだわりは緩み、社会にもうまく適応できるように変化して行きました。
Aeth.の人は、知識などを消化吸収する力も弱く、やや勉強が苦手なタイプです。
試験などのようにプレッシャーがかかることを非常に恐れます。
MIND; FEAR; examination, before(試験前の恐怖)
この症状は、みなさんもよくご存知の
Gels.(ジェルセミウム/イエロージャスミン)にもあります。
試験前に、恐怖心で心身ともに萎えてしまうような人に適します。
Gels.は、麻痺のレメディでもあります。
部分的には似たところもありますが、全体像は違います。
Aeth.を勉強して、「多頭崩壊」という現象について教えてくれた人がいました。
猫の避妊手術に反対で、家じゅう猫だらけになってしまうような人のことをいう
そうです。
家の環境は不潔極まりなく、ご近所さんにも迷惑をかけてしまうようになっても、
頑固に引きこもっているような人。
Aeth.は、100年前のアメリカ人医師J.T.ケント博士が小児コレラに使っていた
レメディです。
古典的なマテリアメディカでは、身体症状中心に記載されていますが、
私は、精神症状から何人かの方にこのレメディを提案してきました。
みなさん、本当に純粋な方ばかりです。そして動物愛にあふれた人。
もの言えぬ動物たちを放っておくことができず、手をさしのべずには、いられない人。
でも、現実社会では自分のするべき役割をうまく果たせない。人間社会が苦手な人たち。
CHKの基本テキストの「Frans VermeulenのマテリアメディカFocus」では
Aeth.の核心を以下のようにまとめています。
1.ミルクに耐えられない。
2.試験に怯える
3.衰弱と眠気を伴う病気。
4.白い鼻の線;口のまわりが青白い。
5.社会から引きこもる;動物に対する強い愛情と哀れみ。
人間関係はとても苦手ですが、とても人間らしいレメディだと思いませんか?
私は、こういう人が好きです。
『Cactus grandiflorus(Cact./カクタス)』
皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
CHK荻野千恵美です。
3月に入り、少しホッとしているところです。
2月は4学年ある専門コースでの年度最終授業月だからです。
4年生は、2月授業を最後に卒業(修了)されて行きます。
嬉しいと同時にさびしい気持ちになります。
そのたびに、時間の過ぎ行く早さに驚かされます。
また、2月23日には「シェディングに対してホメオパシーでできること」という
テーマで特別セミナーを開催しました。
(シェディングとは、接種者から受ける影響から起きる不調のこと)
京都四条教室参加者・Zoom参加者ともに多く、満員御礼の大盛況でした。
参加者の皆さんの体験談やご質問からも、想像以上に多くの方が、
様々な影響を受けておられることを知ることにもなりました。
メイン講師は、築島栄里子さんにお願いしました。
彼女は、私たちCHKの講師たちと、ダイナミススクール(2017~2022年京都開講)で
「流行病に対するホメオパシー的アプローチ」を共に学んだ方です。
彼女の3人のお子さんたちが、周りの友人等から受けた厳しいシェディング体験談。
ホメオパスとしてシェディングによる不調に陥った方々のために奮闘努力した体験談。
そして、何よりも彼女のホメオパシーに対する信頼と情熱と行動力・・・
そうした生の体験談から、会場は熱気に包まれました。
今月も、3つのうち2つの講座・・・
特別セミナー「動物・いのち・ホメオパシー」
春の公開講座「春の会」
・・・を開催させて頂き、いずれも盛況のうちに終了しました。
あとは、今月末の1つだけを残すところになりました。
入門セミナー「初めてのホメオパシー講座」
はじめてのホメオパシー(1回完結)(2024年 3月30日土曜日)Zoom受講可!|クラシカルホメオパシー京都 (chk-homeopathy.jp)
さて、
「今月のレメディ」は、シェディングに苦しまれた方に実際に提案したものの1つを
ご紹介したいと思います。
でも、シェディング=このレメディという決まったものではありません。
ホメオパシーは、シェディングに対しても個性・個別性を大切にして、選んで行きます。ご存知のように、ホメオパシーは一般病名・不調名称にとらわれることなく、
一人ひとりに対するオーダーメイドのアプローチです。
人の顔や性格や体質がみなさん違うように、レメディもその時その状況に合ったもの
(症状の全体に合うもの)から、まずは1つを選んで行きます。
『Cactus grandiflorus(Cact./カクタス)』
Cact.(カクタス)は、メキシコ熱帯雨林に生育する
サボテンを原料とするレメディです。
(以前のブログのご案内です。)
https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12319853317.html
日本での名前は、月下美人。大輪柱。
英語では、Night-blooming cereus. Queen of the night.
この植物の美しく、はかなげな姿そのままの名前が付けられています。
自生地のジャングルでは、老樹の幹、朽ちた木、腐葉土の上に根を張り育ちます。
波打った昆布に似た茎を生やし、1~2mに成長すると20cm~30cmの花を咲かせます。
まさに、大輪柱。
新月や満月の夜、1年に1回だけ咲きます。
夕方から香りを放ち始め、午後8時ごろに満開になり、
そのころに香りもピークとなります。見ごろは、たった2~3時間。
夜に花を咲かせるのは、ライバルが少ないからだといわれています。
暗闇で、目立つ白い花を咲かせ、強力な香りで
こうもりを引き寄せ受粉する。
日が昇ると花はしぼみ、香りも失せる。
花言葉は、「はかない恋。はかない美。あでやかな美人。秘めた情熱。」
「美人薄命」の語源になったとも言われています。
この植物の花や茎は、メデイカルハーブとして
不整脈や心不全の治療に使われてきました。
特徴的なのは、花だけではなく、茎の部分です。
まるで、蛇のような、蔓植物のような。
巻きつかれた木は、苦し気に見えます。
このレメディが持つ症状の一番の特徴は、
CONSTRICTION(締め付けられる)の感覚です。
心臓に、こういった症状を持ちます。
シェディングの影響を受けた方には「心臓が締め付けられるように痛い」という症状に悩まれるケースが何件かありました。そんな場合にとても有効なレメディになります。
レパートリー(レメディ検索辞書)には、以下のような症状があります。
CHEST; CONSTRICTION, tension, tightness; band, girdle, as from
胸がベルトできつく締め付けられるよう。
CHEST; CONSTRICTION, tension, tightness; Heart; grasping sensation
心臓が、固くぎゅっとつかまれる感じ。
締め付けられる感覚は、心臓だけではありません。
胸部、首、身体、膀胱、直腸、膣、子宮などにもあります。
THROAT; CHOKING, constricting; clothing agg.
喉が締め付けられ、窒息するような感覚が衣服で悪化する。
という、症状もあります。
これは、Lach.(ラケシス・蛇/ブッシュマスター)の代表的な症状の1つです。
サボテンなのに、蛇のような姿をしていますが、
蛇の代表格Lach.と同じ症状を持つなんて・・・。
Lach.も、心臓や循環器に症状を持つレメディです。
出血性や鬱血性の症状を持つのも、Lach.との共通点です。
Focusマテリアメディカ(CHKで使っているマテリアメディカ/薬効書)の
Cact.のページに載っている精神症状に、
MIND; DREAMS; falling 落下の夢
というのがあるのですが、この症状に入っているレメディの中に、
Elaps(サンゴヘビ)というのも入っています。
ここにも、蛇との関係性を感じます。
その他にも、蛇と言えば、Naja(インドコブラ)ですが、
このレメディも心臓の病気との関係は深いです。
植物の姿と、その植物を原料とするレメディが、
人の身体に起こす症状との類似性。
それだけでなく、その植物の姿に似た動物とも同じ症状をもつなんて・・・。
とっても不思議です。
私は、こういったところに、ホメオパシーの限りない魅力を感じています。