今月のレメディ

『Chocolate(チョコレート)』

こんにちは。CHK荻野千恵美です。

2月に入って、日々、少しづつ、陽の照る時間が長くなってくるのを
感じるようになりましたが、まだまだ厳しい寒さは続きそうです。

京都の寒さは、雪はさほど降らないけれど、独特のものがあります。
京都盆地の地下には、琵琶湖に匹敵するほどの水量の水がたまっているそうです。
大きな水瓶の上にのっている土地らしい。
だからでしょうか?
冬の日、街を歩いていると、なんだか冷水につけられているような辛さを感じます。

「京都盆地の地下には巨大な水瓶がある」

そんな季節ですが、自然は着々と春への準備を始めています。
野鳥たちは、春から夏にかけての子育てに向けて、
パートナーを見つけることに忙しい時期のようです。

2月14日のバレンタインデーも、聖バレンタインティノが処刑された日を
悼むことから始まったようですが、彼は、ローマ帝国の最盛期、
兵士の結婚を禁止されていたのもかかわらず、
若いカップルを何人も結婚させたという罪だったそうです。
処刑された日が2月14日だったのかは、本当は定かではなく、
この季節が、人々に熱い恋の始まりを求めるのではないかともいわれています。

バレンタインの2つの起源【小さな世界史70】(9分くらいの動画です)

桜は、春の開花をまって、硬い枝先をつややかに光らせています。
小鳥たちは、ともにヒナを育てるパートナーを求めてさえずり始めました。
そして、人間たちは、女性から男性へのチョコレートを贈り、
新しい恋が芽生える季節なのかもしれません。

2月の寒さには、チョコレートが似合います。
口に入れると、優しく溶けて、暖かい気持ちにしてくれます。

今月は、チョコレートのレメディをご紹介したいと思います。

2018年12月にブログに投稿した記事です。
https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12423390184.html

 

『Chocolate(チョコレート)』のレメディ

チョコレートは、現代人の大好きなお菓子。
中毒になってしまう人もいるほどです。

チョコレートは、古くから使われてきたレメディではありません。
数十年前に、ジェレミー・シェアによって作られた新しいレメディ。
古典的なレメディだけではカバーしきれない、
私達現代人の苦しみに手を差し伸べてくれるレメディです。

まもなく卒業の日を迎える、4年生の皆さん達と学びました。

まずは、超簡単プルービングです。
カカオ80%の板チョコを口に入れることからはじめました。

口に入れた直後に感じ、それぞれの内面から出てきた言葉は・・・

気持ちが落ち着く。遠い昔の記憶。溶岩が溶ける。情熱。
フラメンコ。熱帯。熱い。安心感。しあわせ。頭痛。ずきずき。
濃厚。リッチ。晴れた日。渇き。黒人。カカオ。贅沢。覚醒とぼんやり。

・・・暖かく、やわらかく、口の中でとろけるチョコレートのイメージです。
チョコといえば、ベルギーやスイスといったヨーロッパで作られてきた
高級菓子のイメージですが、そもそもは、南米から伝わったもの。
カカオが原料です。
これも、コロンブスの新大陸発見によるものです。

チョコレートは、カカオの種子を発酵、
焙煎したカカオマスとミルクと砂糖をあわせたものです。

紀元前1000年頃には、メキシコの原住民はカカオ豆をすりつぶして食べていたそうです。
マヤ、アステカ文明の時代、カカオ豆はステイタスシンボルだったようです。
カカオ豆は、通貨としても使われていたし、
「知恵とパワー」を与えられるとしてチョコレートドリンクを飲んでいました。

ヨーロッパにもたらされたカカオは、スペインからイタリアへと伝わり、
17世紀にはロンドンにチョコレートハウスができました。
上流階級の社交場だったそうです。

その後、チョコレートは飲みものから固形のお菓子になり、
19世紀、スイスのロドリフ・リンツがコンティングマシン(滑らかに練り上げる機械)を
作ることにより、さまざまな形に加工できるようになりました。

ジェレミー・シェア先生は、30年以上前にダイナミススクールを創立して以来、
プルービングをずっと続けていますが、
2番目にこのレメディをプルービングしたそうです。

そのプルービングは、すばらしい体験だったようです。
マジックプルーバーと呼ばれる感受性の豊かな人がいて、
彼女の驚くような体験から、このレメディの情報がもたらされました。

不思議なのは、このレメディを飲んで、
彼女がハリネズミのような気持ちになってしまったということ。

小さく丸まりたくなったり、
赤い木苺、生きた昆虫をそのまま食べたくなったり、
とにかく、食べることだけに気持ちが傾いてしまい、
あらゆることがシンプルになったそうです。

それにしても、なぜハリネズミ?

ジェレミーは、戸惑ったそうですが
ハリネズミの特徴を考えると、このレメディが理解できたそうです。

ハリネズミって、天敵がいない動物。
敵がきたら、針を逆立てたら、みんな逃げていく。
だから、母親は、子供が敵に食べられてしまうということにおびえなくてもよいのです。
とても早く、親ばなれをする生き物。
授乳期が終わり、子離れの時期を迎えると、母親は、子供に対して針を立てます。
その瞬間、子供は、母親の元から去ってゆきます。
でも、本当は、もっと、甘えていたかった。
愛情がもっと欲しい。
早すぎる自立を求められたことから起きる病気。

これが、チョコレートのレメディのテーマです。

また、病理が逆に振れて、いつまでも自立できない病に適したレメディでもあります。

チョコレートは、20世紀、21世紀の食べ物。
それ以前の時代と比べると、田舎はともかく、街や都会は危険で一杯です。
交通事故、誘拐。
子供が外に出て、自由に遊べる環境ではなくなりました。
親は、学校への送り迎えをしたり、安全に目を光らせる必要があり、
子供は、なかなか自立することが出来ません。
母親が、過干渉の場合もそうです。

チョコレートは、新しいレメディなので、
古典的なマテリアメディカには出てきません。

“Synoptic Reference”
CHK専門コース用対訳マテリアメディカには、この本の抜粋を載せています。

Affinity(病の起きやすい部位)は、生殖系。中枢神経。ホルモン。

精神症状には、「家族」「夫」「子供」という言葉が多く出てきます。
症状ですから、家族を嫌ったり、いらだったり、家族や夫から逃げたかったり。
「愛情」「恋」「性」という言葉も目立ちます。

チョコレートは、口の中でやわらかく、とろけます。
まるでお乳を飲むときのような味わい。
実際のプルービングでは、お乳が張った人が多かったそうです。

チョコレートにはマグネシウムが多く含まれますが、ホメオパシーでは、
マグネシウムは「孤児のレメディ」と言われ、愛に飢えた人でもあります。
チョコレートの人も同じような側面を持ちます。

症状は、「不妊」「妊娠」「生殖」と続きます。
とても女性的なレメディ。

「ロマンティック」「不倫」「冗談」「活発と倦怠」
~成熟した、都会的なエネルギーです。

身体症状は、「心臓」「胸」「顔」「頭」
~血液がたくさん集まるところに出ます。

またジェレミー先生は、Carc.(癌細胞由来のレメディ)とも共通項があると
述べています。

どちらも、現代的、都会的な病と関係しています。
Carc.の人も、厳しすぎる環境で育った人だったり、
干渉しすぎる親、面倒見すぎの親に育てられていたりします。
動物的で自然な感じをなくした、あまりにも人間的過ぎる(管理過剰下の)人たち。
彼らは、動物が好きで、ロマンティックを求めます。

チョコレートは、人間にとっては、限りなく優しい癒しの食べ物ですが、
動物にとっては「毒」だそうです。
このことも、チョコレートのレメディを表現しているのではないでしょうか?

コロンブスが、アメリカ大陸から持ち帰ったカカオがヨーロッパで広がり、
今では極東に住む私達にとっても無くてはならないお菓子となりました。

「日本のチョコレートは、とても美味しい。」とジェレミーが言っていました。

日本には、このレメディを必要とする人が、とても多いのではないかしら。

『シクラメン/Cyclamen』

こんにちは。
CHK荻野千恵美です。

2024年は、元旦に能登半島に大地震が起き、翌2日に、日本航空機と海保機との衝突炎上事故がおきました。
お正月早々こんな大事件が起きるなんて、いったいどんな年になるのだろう?
日本中の人々の胸に、重苦しい思いがよぎったのではないでしょうか。

年明けに起きた大震災を知って、私も1995年1月17日の阪神大震災を思い出しました。
当時、神戸市に住んでいた私達も激震に見舞われました。主人は、脳出血発症直後で神戸市内のリハビリ病院に入院中でしたが、病院内も大混乱だったようです。知人友人からは、踏んだり蹴ったりですね・・・と慰められた?のを覚えています。

でも、時間は淡々と過ぎていきます。
お正月休みは、あっという間に終わり、日常の生活のリズムが整い始める頃にやってくるのが、商売繁盛の神様に詣でる「戎まつり」です。

例年、京都えびす祭りは、1月8日から12日まで行われています。
https://kyotopi.jp/articles/3SVS9

その他に西宮神社では、10日午前6時に表門(あかもん)が開かれると同時に、威勢の良い男たちが本殿めがけて駆け抜ける「開門神事福男選び」という恒例の行事が行われました。

各地で戎まつりで賑わう1月10日は、私たち夫婦にとっては、記念すべき大切な日です。
41年前の戎まつりの日の夜に、私たちの最初の子供が生まれました。

出産予定日は12月31日でした。お正月を過ぎてからの10日間は、どのような気持ちで過ごしていたのでしょう?・・今となっては全く覚えがありません。きっと大きなお腹を抱えて年末からそわそわしていたのではないかしら。

当時私達は、西宮神社にもわりあい近い、武庫之荘という町に住んでいました。そして、選んだわけではありませんが、お隣が産婦人科医院でした。
お正月休みも終わり、主人が出勤し始めて数日たった日の早朝、破水しました。ほとんど寝巻のまま、素足にスリッパをつっかけて、徒歩30秒のお隣の産院に行き、その日の夜、息子は生まれました。おぎゃーおぎゃーと大声で泣いて産まれた赤ちゃんが41歳のおじさんになりました。

残念なことに、当時は、ホメオパシーのことは何も知りませんでした。
自分が経験した妊娠・出産・育児について思いだすたび、当時の自分や子供たちに使いたかったレメディは、いくつもあります。使ってみたかったなあ。
今月は、今の季節、花屋の店先を賑わせている鉢植えの可愛いお花を原料とするレメディをご紹介します。

去年の7月にブログに投稿したものです。
https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12811919342.html

 
『シクラメン/Cyclamen』

冬になると、可愛い鉢植えのシクラメンが花屋の店頭を色とりどりに飾ります。

シクラメン

この姿に、皆さんは、どんな感じを受けますか?

先週、3年生の授業で、生徒さん達とこのレメディを学びました。

シクラメンは、中近東、東地中海地方原産のサクラソウ科の球根多年草です。
その大部分は、北半球の温暖な気候の中で生育しています。
シクラメンの学名は、ギリシャ語のkyklaminosに由来し「旋回」という意味があります。
レメディにはこの植物の根を原料に利用します。

婦人科系の不調とも関係の深いレメディで、女性的なレメディの1つです。

このレメディはCHKでは、3年生か4年生で勉強します。この頃になると学んだレメディ数がずいぶん増えてきます。生徒さんたちから「なかなかレメディが頭に入らなくなってきた。」という声が聞こえてきます。

そんな時、私たち講師は、既習レメディの中で似た症状をもつレメディとの比較をしながら、授業を進めるようにしています。
もちろん、有名なマテリアメディカにもこういった記述は多く、Cycl.は「寒がりのプルサティラ」とか、「プルサティラとセピアの中間」と書かれているものもあります。
また、「精神的にはナットムール(岩塩)やオーラム(金)に似ている」と書いてあるマテリアメディカもあります。

精神症状でもっとも特徴的な症状は、

MIND; REPROACHES; himself
自責の気持ち。自分を責める人です。
この症状で有名なのは、ナットムール(岩塩)やオーラム(金)のレメディです。
この症状を持つレメディは、責任感が強くとてもまじめです。

鬱的な暗い気分でいることが多く、無口で、孤独を好みます。

同時にめそめそしやすい人でもあります。
「泣く」という精神症状の中でも、生理との関係が深く、黙って静かに泣くタイプです。
Cycl.は、以下の症状の中にあるレメディの1つです。
MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; before
MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; during
MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; suppression of, in
MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; silence, in
生理前、生理中、生理を抑圧したときに泣きます。
泣くときは、静かに、だまって一人で泣くような人です。

身体面では、めまいと視覚障害が特徴的です。

シクラメンの学名は、ギリシャ語の「旋回」という言葉から来ているようですが、
まさに、Cycl.は、回転性のめまい症状で有名です。
VERTIGO; OBJECTS seem; turn in a circle, to  めまい;物が回転して見える。
VERTIGO; TURNING; circle; in, as if  めまい:まるで回転しているかのよう。

視覚障害が、めまい・頭痛・生理や胃腸の調子が悪いときに起きやすい人です。
VISION; DIM; vertigo; during   視野のかすみ:めまいの時に
VISION; DIM; headache; during   視野のかすみ:頭痛の時に
VISION; DIM; menses; during    視野のかすみ:生理中に
VISION; DIM; gastric complaints, and 視野のかすみ:胃の不調時に

視野のかすみ以外では、
VISION; FLICKERING  視野が点滅する
VISION; SPARKS  火花のように飛び散る

インドの巨匠、ラジャン・サンカランは、レメディ像を明確に教えるために、わかりやすい、典型的なタイプのケースを示してくれます。

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患者は45歳の女性であった。過去14年間、ボンベイにある大きな会社でアシスタントマネージャーとしてキャリアを積み成功していた。ここ2・3ヶ月、足に非常に酷い湿疹が生じ、ジクジクして痛みが生じるという訴えであった。彼女は全くなにもできなくなり、どこにも行けず家にじっとしていなければならなかった。湿疹の原因としてなにが考えられるかと尋ねると、おそらく心理的なものだと答えた。ある家族的な問題があるのだということだったが、それ以上詳細を話したがらなかった。

そこで私は夢について尋ねた。彼女は「私は大便の夢を繰り返しみます。便が通過する夢や便が散らかっている夢です」と述べた。話している間、彼女は決して私を真っ直ぐに見ようとはしなかった。目をきょろきょろさせて、脇を見ていた。そこで私が「その夢について話してください」と言うと、彼女は「わかりましたドクター。私の問題についてお話します。私には精神遅滞の息子がいて痙攣発作を起こします。この子が発作を起こす時にきまって便の夢をみるのです。妊娠中に私は、たくさんの便があってそこから子供の頭が出てきている夢をみました。誰かが、それは神様はご存じでしょうが、その頭を押し戻そうとしていました。その時、私は子供が大丈夫ではないだろうとわかったのです」と述べた。
話している間、彼女は非常に素速く目を動かしていた。そしてほとんど囁くようにして付け加えた。「私はそれを避けることができたのではないかと感じています。なにかできることがあったのではないかと思うのです」。

14年間勤務している間、彼女は子供のことを誰にも話さなかった。彼女はあらゆる社会的接触を避け、パーティにも出ず、たとえ休日を取ることが許可されていてもどこにも外出しなかった。仕事においては非常に能率的であった。たとえ夫が助けてくれていたとしても彼女は自分ひとりで子供の世話をする責任を感じていたのである。
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陽の光の少ない、一年で一番暗く寒い季節に、シクラメンは、小さな鉢の中に、白、赤、ピンク、紫など華やかな色合いで、健気に咲きます。
花の姿をよく見ると、めしべやおしべは地面を向いて、花弁は反り返るように上に突き立てています。

誰にも言えない辛く苦しい思いを、心に閉じ込めて、一人で頑張って生きてきたこの孤独な女性のケースに、どこか似ているような気がしませんか?