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2016年11月授業報告(1年生~初級コース)

11月19日(土)・20日(日)

今月は、高知在住の通信生の方が久しぶりに教室で受講され、またそのご友人が授業見学に来られました。

今月の授業は、「国際セミナーの振り返り」「9月に学んだレメディの復習」「今月のレメディ学習(3つ)」「オルガノン学習」でした。(写真は、Thuj.)

 

「9月のレメディの復習」 

9月に学んだ3つのレメディ~Lach. Merc. Staph.~について、そのレメディエッセンスの確認をしながら、今回初めてレパートリー(症状からレメディを探す検索辞書)を使ってみました。本格的には、2年生以降に使う予定ですが、レメディ学習もそれなりに数が増えてきましたので、馴染む程度に使ってみました。レパートリーは慣れること馴染むことが大切ですから。
意外にも皆さんが抵抗なく引けるのには驚きました。半年以上、英語×日本語対訳でのマテリアメディカで学んで来たことが功を奏したのだと思います。ホメオパシー特有の英語表現に肌で馴染んでいることが伝わってきました。


「今月のレメディ学習」

今月は、Thuj.Arg-n.Carc.の3つのレメディを、学びました。

 
Thuj.は、クロベ属ヒノキ科の常緑針葉樹のニオイヒバから調整されるレメディです。

いつものように映像を使って、全体的なイメージを理解してもらうことから始めました。
針葉樹の森は整然として美しい外観をしていますが、一旦その森の中に入り込むとそこは陽の光が届きにくく、夜のように暗くひっそりとしています。そこは下草など他の植物が生きることが難しい場所でもあります。この植物の在り方が、このレメディの症状全体とリンクしています。

Thuj.によくマッチする人は、自分はひどく弱く脆いと感じ、そして、どこか自分は汚いとすら感じています。極端なほど自尊心が低いため、自分の本当の姿をなかなか表に出さないで綺麗に整えて見せようとします。例えば、とても礼儀正しかったりします。外からの影響にはとても敏感で、自分の姿も本心も観られたくないような態度をとります。自分の顔を隠すように深く帽子をかぶったりしているかも知れません。このレメディには、とても多くの妄想(思い込み)が見られます。ホメオパシーでの妄想とは、その人の世界観のようなものです。Thuj.の妄想は独特で「自分は脆い・ガラスでできている・木でできている・汚れている・お腹に生き物がいる」などと思い込んでいます。自尊心が低いと言っても、このような質感だと理解しておくと、より良くレメディの理解ができます。
身体面は、イボ・ポリープなどの腫瘍ができやすい体質です。隠そうとしても隠しきれないで表に現れ出て来るかのような症状として表現されます。体質的には冷えや湿気からの影響を受けやすく、爪に問題がでたりします。また、欧米では古くから、予防接種後の不調が起きた子供に対して、よく利用されて来ました。全体に「Sil.シリカ」というレメディに似ています。

 
Arg-n.は、硝酸銀から調整されるレメディです。

授業では、多くの生徒さんが苦手と思われる化学式「AgNO3」を考えてみることから始めてみました。意外にも「Ag」という元素記号は抗菌性を持つ製品などとして皆さんよく知っていました。

この硝酸銀のレメディは、Ag(銀)という貴金属の要素とNO3(硝酸)という爆発的な性質を合わせ持った全体像です。現実の世界では「鏡」の原料として私達とは馴染み深いものです。

銀の持つ、希少価値・加工の容易さ・素早く鋭い光の反射・導電性に優れた素材という特徴から、人間は、この素材を太古の昔から色んな形で利用して来ました。宝飾品・高級食器・貨幣・鏡・電気材料など身の周りにしばしば見ることができます。
一方、硝酸は、火薬原料として利用されて来ました。また、昔から、月と銀は関係が深いと言われて来ました。硝酸銀から作られる「鏡」は神話や物語にしばしば登場する神秘的なものでもあります。「鏡」は、私達人間に様々なイマジネーションをもたらしてくれる不思議なものです。

生徒さんたちには、原材料のイメージをたっぷりと味わってもらった上で、マテリアメディカを学びました。

このレメディにマッチする人は、周りに対して神経質で衝動的・性急に反応し、臆病で不安が強く、これから起こるであろう厳しい試練を勝手に想像して恐れたりします。人一倍「予期不安」が強い人です。その強い不安感や恐怖感は想像力が優れているために起きてきますが、健康な場合には、その力を素晴らしいアートや優れたパフォーマンスとして発揮したりします。デンマークの世界的童話作家アンデルセンは、このレメディタイプだと言われています。
身体面では、神経系統が乱れやすく、協調不能・制御不能・平衡機能障害(めまい・フラフラ)といった症状に特徴があります。粘膜の炎症・潰瘍形成・膿性の分泌物を生じたりすることもあります。神経過敏なため、胃腸に影響を受けやすく、予期不安からしばしば下痢症状を引き起こします。

講義を進めていて、講師は、改めて自分がこのレメディにとても似ていることに気づきました。マテリアメディカに出て来る特徴的な症状のかなりの部分を自分の実体験として生徒さんたちに伝えることが出来ました。リアリティーのある授業になって良かったと思います。

 

Carc.はNosodesに分類されるちょっと珍しいレメディです。

Nosodesとは、人間の病気から調整されたとても人間的なレメディです。しかも現代という時代とリンクした傾向の強いレメディです。
例えば、原発で働く人達の置かれた状況。新幹線の運行のために働く人達が置かれている状況。「強烈な自己コントロール」が必要とされるようなエネルギー傾向・・それがこのレメディのエネルギー的な質感を現しています。ちょっとでも気を抜くと壊れてしまうギリギリの状況下で、必死に自分を抑え込んでコントロールし続けている。もし、コントロールが出来なくなると「破壊」が始まってしまう。現代を象徴する病である癌という病気を取り巻く質感はこのようなものだと思われます。
このレメディは、高度管理社会である現代人にしばしば利用されます。でも意外なことに幼い子供に使われるケースが多いのに驚かされます。子供は、時代のエネルギーを背負って、この世に生まれて来るのかも知れません。