レメディの使い方ABC

生理系:ラケシス Lach.(ラカシス)

2010-08-09

こんにちは、クラシカルホメオパシー京都荻野千恵美です。

連日の猛暑には、心身共に、うんざりです。
私自身、京都のこの暑さは、3回目。
実際経験してみると、想像していたよりは、ずっと厳しいです。
夏の厳しさのピークは、7月半ばの祇園祭から、8月半ばの大文字五山の送り火まで。
貴船や先斗町では、川に床どこを作り、そこで食事をさせるなど、昔から、この町の人々は、この時期の過ごし方に、いろいろに工夫をこらしてきたようです。

今年の夏の、私のハイライトは、川床料理でも、温泉でも、旅行でもありません。

7月の終わりの三連休。
京都、山科でのホメオパシーセミナーに参加しました。
講師は、カナダのルー・クライン先生。
今回のテーマは、発達障害の子供たちへのアプローチだということで、ずっと楽しみにしてきました。

彼は、30年のキャリアを持つ、先生の中の先生。
「困ったらルー先生におまかせ。」
ホメオパス達が自分で解決できない問題の相談を受ける立場にいる方です。

今回のセミナーで紹介されたのは、すべて、このような症例。
処方されたレメディも、聞いたこともないものがたくさん出てきました。

これらのレメディは、ルー先生の著書「ホメオパシーレメディの臨床的なフォーカスガイド」に詳しく紹介されています。
今回のセミナーを主宰された、渡辺先生が翻訳をされていて、購入することもできます。

ルー先生のメソッドは、4段階。

1.真の、その人の傾向と病理を特定する。
2.得た情報をホメオパシーに翻訳する。
3.レメディを選択する
4.反応を評価する。

非常にシンプルですが、その背後にあるのは、深いレメディの理解と、豊かな経験。
ルー先生のセミナーに参加した3日間、とても充実した時間でした。
それでは、始めましょう。

「セルフケアコース 6 特に女性に関係したレメディ」 その2

<ラケシス Lach.>(ラカシス)

先月ご紹介したSep.同様、女性の生理や更年期の症状ととても深い関係があります。

原料は、ブッシュマスター。
南米、熱帯雨林に生息する、猛毒を持つ大蛇です。
大きく強い動物なので、獲物をとる以外には、おとなしく、人を襲ったりすることもまれだそうです。

川の近くに住み、日没後から夜間にかけて活動します。
待ち伏せタイプの狩りを行います。
獲物がくると、サッと飛びかかって毒を注入して放します。
毒は猛毒で、獲物はすぐ死ぬので、獲物の臭いを追跡し、ゆっくりと移動して、死んでいることを確認してから、飲み込みます。

Bush(薮、茂み、低木林地)Master(支配権を持つ人、かしら、主君、師匠、名人)。
ラケシスを必要とする人は、名まえのとおり、堂々とした魅力的な人ですが、疑い深く、強い嫉妬心、警戒心も持っています。

蛇には「脱皮」という習性があります。
ラケシスの人にも、古くなった、狭い皮を破って出たい。そして楽になりたいという感覚があります。
このレメディのテーマは、「出口を探す過剰な刺激」
ヨーロッパでは、「圧力鍋レメディ」とも言われています。
狭い空間の中で、閉じ込められた高温の蒸気が、ふたに付いた小さな穴からものすごい勢いであふれ出す。
こういったエネルギーを持った人です。

激しく、情熱的。熱狂。自己中心的で高慢。

おしゃべりで、言葉が、口から次々と、あふれだすような人です。
頭の回転が速くて、ウイットに富んだ話をして周りを楽しませます。
舌鋒は、鋭く相手を、やりこめることが得意。
よき話し手ではあるが、悪しき会話者であると言っているホメオパスもいます。
魅力的な表現で人の気持ちを引きつけますが、相手と歩調を合わせ、キャッチボールを楽しむような会話は苦手です。
性欲が強い人が多いようですが、まったく逆にストイックになり宗教に傾倒してく場合もあります。

身体的には、暑がり。
暑さや直射日光、熱い飲食物も嫌います。

体を、縛られることが大嫌い。
そして、排出することで楽になります。

縛られることへの嫌悪は、服にもあります。締め付けられる服、特にへびの弱点である首もとが詰まった服は大嫌いです。

生理も、出血が始ると楽になりますが、生理前には様々な不調を持ちます。
頭痛が鼻血によって治まったり。
どんな症状も、分泌物の排泄によって楽になります。

このレメディには、おもしろい逸話があります。
ホメオパシーの治癒の法則(へリングの法則)で有名な、へリングがプルービングをしました。
彼は、最初ホメオパシーにたいして、疑いを持っていた人でした。
しかし、ハーネマンが述べていることを検証した後、その素晴らしさに感動し、新しいレメディをプルービングするほどのホメオパスとなりました。
南米にまで行って、蛇毒をプルービングするような人。
猜疑心と、熱情の両面を持った人だったのかもしれません。

彼は、プルービングする中、この毒に冒され、左半身麻痺の障害を持ってしまいました。
ラケシスは、左側に症状を持つ代表レメディでもあります。