レメディの使い方ABC

神経・胃腸:アージ・ニット Arg-n.

2009-12-18

こんにちは、荻野千恵美です。

今年も、残すところあとわずかとなりました。
皆様にとって、今年はどのような一年でしたでしょうか?

経済面では、不況の嵐がいっそう厳しく吹き荒れました。
健康面でも、例年は冷え込む季節に蔓延するはずのインフルエンザが、年中猛威をふるい続けました。

そのため、セルフケアコースに来られたお母さん方からは、インフルエンザについてのご質問や、ご相談をずいぶん受けました。

予防接種は?タミフルは?抗生剤は?
お母さん方の不安の声を聞く中、強く感じたのは、現代医学とホメオパシーとの症状に対する考え方の違いでした。

現代医学は、病気の原因を外にあるウイルスに求めます。
消毒やマスクで、必死に防ごうとし、予防接種で備えます。
また、身体に起きる症状に対しても、それをよくないものとし、押さえ込もうと戦います。

一方、ホメオパシーでは、今、その人に起きている症状に似た症状を起こせるレメディを摂ることによって、起きるべき症状をまっとうさせようとします。

不安を持つお母さん方のご相談を受けるときの私の基本姿勢は、自分自身が、初めてレメディだけで、インフルエンザを経過させたときの体感です。

治ったときの、今までとは違う、すがすがしい、軽やかな感じ。
そして、その後、同じような症状で苦しめられることは、ほとんどありません。

私たちには、ホメオパシーの恩恵をお一人でも多くの人に受けていただきたいという思いがあります。
そのため、セルフケアコースを、今年は、京都と大阪だけでなく、岩国、北陸、北摂でも行いました。来年は、名古屋、岡山でも始めます。

そして、こういった場で活躍するホメオパスが、一人でも多く育っていくことも、切なる願いです。
来春から、ホメオパシーの専門家を目指す3年制コースの3期生も現在募集中です。
ご興味のある方は、見学会もしていますので、ぜひお越しください。

では、始めましょう。

「セルフケアコース 神経・感情から起きる不調に適するレメディ」 その2

<アージ・ニット Arg-n.>

原料は、硝酸銀です。

中世の錬金術師たちは、この物質を「ルナ・コーステイック」と呼び、イボや傷を焼いたり、てんかんの治療薬として使っていたようです。

ルナといえば月。
月といえば・・・・
かぐや姫が月に帰って行ったり、ウサギがお餅をついていたり。
ロマンテイックで、空想をかき立てられるような存在です。
自分から光を放つのではなく、あたりが暗くなってはじめて、太陽の光をうけて輝きます。
舞台に立ってライトを浴びるような人かもしれません。
しかも、その姿は、絶えず満ち欠けを繰り返し、一定ではありません。

一方、余談になりますが、太陽になぞらえられるレメディもあります。
Aur. オーラム。「金」のレメディです。
自らが輝く人。
王様のような、高い地位と責任。

また、硝酸銀は、鏡の材料にも使われてきました。
皆さんは、「鏡」といえば、何を思いうかべますか?
鏡は、その前にあるものすべてを、そのままに映します。
それだけに、夜中にふとのぞきこんだら、なんだかぞっとしそうです。
「古い鏡には、霊魂が宿っている。.」 今でも京都の芸者さんたちはそう信じていると、最近読んだ本にはありました。
そして、皇位継承の印である三種の神器の1つにもなっています。

化合物としての硝酸銀の「銀」の部分をみてみると?
化学記号「Ag」のこの物質は、金属のなかで、最も熱や電気の伝導率がよく、光の反射率も高いのです。
また、「硝酸」の有機化合物。三硝酸グリセリンは、ニトログリセリンとして有名です。
これは、血管の拡張作用があり、狭心症の薬です。
ちょとした摩擦や、衝撃で爆発してしまう物質。
こういった原物質からできたレメディがマッチする人ってどんな人でしょうか?

のんびり、ゆったりした人ではないでしょう。
感じすぎる人。反応しすぎる人。敏感で、衝動的です。
そして、暑がり。
ものすごく想像力が豊かです。

芸術的かもしれませんが、その豊かな想像力があれこれ恐怖に結びついてしまったら、どうなるでしょうか。
感情が膨れ上がり、理性の制御が利かなくなってしまいます。
冷静に考えるとありえないような事をあれこれ思い描いて、振り回され、引きずられてしまったり。
怖いものが、たくさんあります。
人ごみ。狭いところ。高いところ。ひとりでいること。
人前に出て、何かパフォーマンスをすること。
約束の時間に遅れないか?失敗するのではないか?
いろんなことをあれこれ恐れてその結果、迷信深く、頑固になっていきます。

セルフケアとしては、「試験前レメディ」として使えます。
入学試験だけでなく、発表会などでも。
仕事で、プレゼンテーションをしたり、大切な商談のとき。
こういったとき、必要以上の緊張をしてしまい、ピリピリ落ち着かないときにおすすめです。

同じような、緊張をしいられる状況のときでも、いざというとき、投げやりになったり、鈍くなってしまう人にはゲルセミウムがおすすめです。
とにかく自信を失ってしまう人にはライコポディウムがよいでしょう。

アージ・ニットの人は、消化器に症状を持ちやすいです。
緊張から下痢をしたり、お腹がはったりゲップがよく出たり。
甘いもの、味付けの濃いものが好きですが、甘いものでお腹を壊しやすいです。

レパートリー。(レメディ検索辞書)をめくると、アージ・ニットが大文字で出てくる面白い項目があります。
「喉頭ー声ー失うー歌手」
たまに、有名な歌手が、のどを痛めて歌えなくなったという話、ありますよね。

こういう話をきくと、私はドキっとします。
その人は、甘いものが好きなのかしら?
怖がりなのかしら?
なんて、興味津々となってしまいます。

だれでも知っている世界的な童話作家アンデルセンは、もともと役者志望だったそうです。でも、声が出なくなりその道をあきらめました。
彼は、お話だけではなく、美しい絵もたくさん残しています。

彼が活躍した時代は、王侯貴族がパトロンとなって芸術家達を保護していました。
芸術家たちは、あちこちのサロンを渡り歩く旅から旅の生活でしたが、アンデルセンはいつもロープを持って旅したらしいのです。でも生涯使うことはなかったそうですが。

彼は、何より火事を恐れていました。もし、旅先で火事になったら、ロープを使って逃げるつもりだったそうです。
彼の想像力は、美しいお話や、絵画を生み出しましたが、普通の人には考えられないようなことも想像し、怖がって暮らしていたのです。

私は、アンデルセンのロープと、声を失ったエピソードを知ったとき、このレメディが思い浮かびました。
アンデルセンは、アージニットだったのではないかしら。

感じやすさというのは、人間を苦しめもしますが、これがあってこそ、すばらしい芸術作品も生まれるものです。

来月もまた、神経質といわれる人のレメディをご紹介いたします。

どうか、お楽しみに!