レメディの使い方ABC

風邪:Ferr-p. フェラム・フォス

2009-05-31

こんにちは、CHK荻野千恵美です。

3年制専門コースの生徒さんの中には、遠方から通っている方が、数名おられます。
せっかく、やってくるのだからということで、毎月、二日間の授業の前後に京都を楽しもうという思いも強く、その時々の京都の見どころにも詳しいようです。
私は、耳よりな京都情報などを、よく教えてもらっています。

「今、植物園のバラがみごとですよ。」
その一言に誘われて、先週、さっそく京都府立植物園に行ってみました。

植物園は、学生時代にも、何度か行った記憶があるのですが、地下鉄ができて、とても行きやすい場所になっているのに驚きました。
地下鉄北山駅を降りたところが、入り口になっています。

たくさんの種類のバラが、それはもう、みごとに咲き誇っていました。
一本立ちになって、豊満な大輪の花を咲かせているもの。
つる性で、しなやかに枝を伸ばし、可憐な花を咲かせているもの。
色も、白から、黄色、オレンジ、ピンク。
同じ赤でも、色というものは微妙で、さまざまな違った表情を見せるのだと思いました。

一株一株が丹念に育てられ、みごとな花を、たくさんつけていました。
そして、その一輪一輪が、力いっぱい、今という瞬間を、楽しんでいました。

大勢のバラたちの美しい姿と、香りを楽しんで、バラ園をでると、そのすぐそばは、紫陽花園でした。
まだ、緑の固いつぼみでしたが、つぎの出番を待っているかのようでした。

それでは、始めましょう。

セルフケアコース4「風邪のレメディ」その4

<フェラム・フォス> Ferr-p.

このレメデイも、風邪の始まりによく使います。
でも、アコナイトやベラドンナのような、激しさはありません。
ゆっくりと進行していく、のどや鼻の炎症。発熱。
なんだかはっきりしない、風邪に罹った不快な感じ。
原料は、リン酸化鉄。

燐(フォスフォロス)と鉄(フェーラム)の二つの要素を持っています。
鉄といえば、堅固で強いイメージ。フェンスや鉄格子。境をつくる固い素材です。
一方、燐(フォスフォロス)といえば、境目のない、交流がテーマ。

これらの2つが重なると、マテリアメデイカ(薬効書)には、「特徴のないのが特徴」なんて一行がありますが、このようなことになるのでしょうか。
鉄は、ヘモグロビンの成分である、血液と関係が深い物質。
燐(フォスフォロス)も、交流、循環というテーマを持ち、血流と深い関係にあります。
炎症といえば、その部分になにか異変が起きて、血液が集まりなんとかしようとしている状態ですね。
こういった症状に関係の深いレメディです。

また、フェラム・フォスは、急性の炎症、出血、うっ血や貧血などの状態を正常にもどす働きがあるといわれているテイッシュ・ソルトとしても有名です。

テイッシュ・ソルトというのは、19世紀末のドイツ人ホメオパス、ウイルヘルム・シュスラーによって考案されたものです。
別名、シュスラー塩ともいいます。
彼は、人が病気になるのは、人体を構成している12の組織塩のどれかが欠乏するためであると考えました。
そして、病気ごとに、必要な組織塩を研究し、処方していたそうです。
ポテンシー(レメデイの薄さ)も、レメデイほどは、高くありません。
12Xとか、6Xとかいうものを使います。
ホメオパシーのサプリメントといえるような存在です。

妊娠すると、多くの人が貧血になります。
産婦人科では、たいてい鉄剤を処方されます。
でも、それを飲むことによる不調を訴える方は結構多いです。
このような方にこのレメディをテッシュソルトで飲んでもらったことがありますが、貧血症状だけでなく、身体が軽くなって、家事がしやすくなったなどと、なかなか好評でした。
アコナイトが、サルフアー体質の人と相性がよいこと。
ベラドンナが、カルクカルボの体質の人と相性がよいことは前にご紹介しました。
ある、フォスフォロスタイプの坊やを持つお母さんがおっしゃっていました。
彼は、風邪のときフェラムフォスがとても良いそうです。
そういったことも、よくあるのかもしれません。
次回は、ゲルセミウムについて、ご紹介します。
風邪のレメデイの主人公的な存在です。