レメディの使い方ABC
アルニカ Arn.(アーニカ)
2008-07-24
こんにちは、CHKの荻野千恵美です。
京都では、祇園祭も終わり、来月、大文字の送り火の日をむかえる頃までが、一番暑さの厳しい季節となります。
目覚めたときに耳に入る蝉の声も日ごとに騒がしくなり、なんだかその日の暑さを教えてくれているような気がします。
CHKでは、昨年11月から、京都での平日火曜日のセルフケアの講座を始めました。
今年、4月からは、京都と大阪で、それぞれ平日(京都=火・大阪=水)、週末のコース(京都=土・大阪=日)ができ、ご都合に合わせて、4つのコースから、選んで頂けるようになりました。
どのコースも、何回目かによって、学ぶ内容が決まっているので、超入門セミナーを受けていただいた方なら、途中からの参加も可能です。
また、ご都合に合わせて、平日、週末にまたがった参加でも結構です。
無料見学も各1回、受け付けています。
この季節、暑気払いとはいきませんが、一度、CHKのセルフケアコースの楽しい雰囲気を味わいにいらっしゃいませんか?
では、始めましょう。
セルフケアコース3「怪我のレメディ」その2
<アルニカ Arn.>(アーニカ)
原料は、アルニカ・モンタナ。中央ヨーロッパの高山の牧草地に多く生えています。
気候の変化の激しい、厳しい環境で健気に黄色い花を咲かせます。
花びらは、どこか傷ついたような、やや乱れた姿をしています。
昔から、怪我と関係のある薬草というのは、黄色い花が多いといわれています。
これから勉強していく怪我と関係のあるレメディ(カレンジュラ・ハイペリカム)も黄色い花を咲かせます。
黄色というのは、「血」と関係が深いと考えられていたそうです。
血を水で薄めると、黄色になるからとか、人の注目を集めやすい色であるからだとかと言われています。
これは、「特徴表示説」といわれて、神様が、人に必要な薬を教えるため、色や、姿でその薬効を表現しているという考え方です。
キリスト教と、民間伝承が合わさってできたとも言われています。
たとえば、他にも、ユーフラシアというレメディにもなっているハーブは、花の形が、充血した目に似ていますが、それで、目の治療に使われるようになったそうです。
アルニカは、400年以上前から、薬効成分を認められていた植物。
薬草として、人とのかかわりもずいぶん古くからあったようです。
アルニカ・モンタナという名前がついていますが、モンタナというのは英語では、マウンテン。
ヨーロッパの山小屋にはいつもこの薬草がおいてあり、山での事故にあった人の手当にこの煎じ汁を使ったそうです。
ホメオパシーでも、アルニカは、登山者のレメディといわれています。
山に登ったときに起きるような様々なトラブルから守ってくれます。
慣れない山道を歩いてころんでしまって、打撲やねんざをした。
すりむいて、出血してしまった。
突然の寒さで、風邪気味になったり、長い時間歩いたために疲労困憊してしまったり。
でも、これらは、山に登ったときにだけ、起きることではありません。
日常茶飯事。よくある出来事です。
ですから、アルニカは、日常的に、広く対応してくれるまさに「万能なレメディ」ともいえます。
もう、10年以上前になりますが、英国皇太子妃が、駆けつけたレスキュー隊員に残した言葉は、有名です。
“Leave me alone” 「そっとしておいて。」「さわらないで。」
ひどく傷ついてしまった自分。だれにも近づかれたくない。
自分がどういう状態なのかもわからない。
自分は大丈夫なので、他の人を助けてあげて。
彼女は、あのときこのような気持ちではなかったでしょうか?
まさに、アルニカ的な状況です。
英国のバラと称えられたダイアナ妃。
物質的には豪華な世界に住んでいましたが、精神的には、高山の寒風吹きすさぶ厳しい環境で一人健気に生きていた方だったのかもしれません。
彼女は、プルサティラだとか、フォスだとかいうのを耳にしたことがありますが、最後にあのような言葉を残して逝ってしまうなんて、アルニカのような人だったのかなあ・・・。
なんて想像をしてしまいます。
レパートリー(レメディの症状別検索辞書)のMIND(精神)のページには、
WELL;say he is,sick when very(ひどい病気の時、大丈夫と言う)
という項目があります。
ここにアルニカは、大文字の太字で書かれています。
ひどい状態でも、大丈夫だと言ってがんばる人です。
仕事でも、家事でも、誰にも頼らず、弱音も吐かず、一人ですべてやってしまおうとする人でもあります。
私自身は、決してそのような人間ではないのですが、肉体的にすごく疲れてしまって風邪気味になりそうなときに、なんどかアルニカに助けてもらったことがあります。
家族では、主人が抜歯したときの体験がすばらしいものでした。
親知らずを抜いたときのこと。
治療前に、アルニカを1粒。治療後にカレンジュラを1粒。
それだけで、抜歯の痛みや、恐怖からずいぶん救われたようにみえました。
アコナイトと同様、体質にかかわらず、私たちを日常のトラブルから救ってくれる素晴らしいレメディの1つです。