レメディの使い方ABC
ホメオパシーとは何か5
2007-12-11
こんにちは。CHK荻野千恵美です。
11月下旬の三連休、国際セミナーに参加するために上京しました。
講師は、英国 The school of Homeopathy の学長をされている Misha Norland先生。
巨匠といわれるホメオパスのお一人です。
5年前にも来日されて、先輩達からその時のセミナーのすばらしさについていろいろ聞いていたので、ずっと楽しみにしていました。
初日は、ラケシスLach.(ブッシュマスター・スネーク)のケース。
10才の可愛い女の子。
丸一日かけて、じっくりケースを味わいました。ルブリックスRubricsを上げ、レパートライズする分析。三界のなかでは彼女は動物的であるといった方面からの分析。
先生の謙虚で、静かなお人柄が立ち上るような、講義でした。
「病に対する私の考えは、違う存在に支配されている。乗り移られている、ということ。これは、人類の始まりにさかのぼるような、現代人には受け入れられない考え方。非科学的。魔女的。」
このような言葉が、私には印象的でした。
これこそが、ホメオパシーが自然界の物質をエネルギー化したレメディというものを使う理由なのだと思いました。
そういえば、インドの先生が「ケースの中に流れる非人間的な歌声。」というようなことをおっしゃっていたような・・・
2日目、3日目は、先生がプルービングProvingされた「ハヤブサ」と「ポジトロニウム」のレメディについて。
プルービングすることになったいきさつから、プルービングに参加された方たちの言葉。
そして、ケース。
ハヤブサは、古代エジプトの壁画にも出てくる鳥。
また、王族たちの狩りのための必須アイテム。
食物連鎖の頂点に君臨する鳥。
高貴さと屈辱。自由と支配。高いところからの鳥瞰的な視野。
とても魅力的な動物を原料とする、素晴らしいレメディでした。
また、ポジトロニウムも、断層撮影装置などに使われているそうですが、これは動物でも、植物でも、鉱物でもない物質。
この世には、普段は存在しない。存在した瞬間爆発してしまうような物質。
このレメディのプルービング情報には、ニューヨークの9.11事件を彷彿するような、最もひどい出来事もあるそうです。
そして、「もっともひどいものこそが、もっとも素晴らしいレメディとなれる。 」
この言葉も感動的でした。
さて、このコラムも5回目となりました。
「レメディの使い方ABC」ということなのですが、レメディの使い方以前の話が続いています。
もう少し、お待ちくださいね。そういった、お話は今回が最後になります。
では、始めましょう。
セルフケアコース1「ホメオパシーとは何か」その5
<ホメオパシーの発展と衰退>
ハーネマンによって確立されたホメオパシーは、ヨーロッパ全土を襲ったコレラに対しても、ナポレオン遠征でのチフスに対しても、当時の通常医療より、はるかにすばらしい治療成績をおさめました。
そして、次第にヨーロッパから大西洋を越えてアメリカにも広がりました。
アメリカでは、1900年代、ホメオパシーを講座に持つ医科大学が40~50パーセントあったそうです。
特に活躍したのが、ジェイムス・タイラー・ケント。
ホメオパシーの中興の祖と言われています。
病気の症状から、レメデイを検索する辞書(レパートリー)を作りました。
しかし、そのように、盛んだったホメオパシーも1930年代には、ホメオパシーを講座の持つ医科大学は0になります。
なぜでしょうか?
ホメオパシーの著しい発展に自分たちの仕事を奪われることを恐れた通常医療の団体からの攻撃がありました。
でも、それだけではありませんでした。
瀉血中心だった通常医療も、科学技術の発展にともないめざましく進歩しました。
顕微鏡が作られて病原菌が発見され、ワクチンが作られました。
手術も安全性がいっそう高まり、高度な治療がどんどんできるようになりました。
しだいにホメオパシーは古臭い医療とみられるようになったのです。
この頃、アメリカで大活躍した日本人がいます。
野口英世です。
今、千円札になっているもっとも有名な偉人の一人。
貧しい家に生まれた彼は、無謀としか言いようのない方法で渡米しますが、研究者としてアメリカンドリームを体現した人です。
このあたりのことは、「遠き落日」渡辺淳一著(角川文庫)にみごとに描かれています。
ぜひ、ご一読ください。
私は、子供時代に読んだ偉人伝のイメージが吹っ飛んでしまいました。
野口は、顕微鏡を夜も寝ないでのぞき、病原菌をアフリカの奥地にまで追いかけまわしたような人でした。
当時の社会は、彼を「科学の時代の救世主」とでもいうような英雄としてあつかいました。
彼が、その名声の頂点で亡くなったのは、1928年。
ホメオパシーの火がアメリカで消えようとしていた頃でした。
しかし、21世紀をむかえ、相変わらず見えるものだけを相手に、とにかくやっつければいいという医療に私たちはずいぶん傷つき、また疑問を持つようになりました。
見えるもの以前に何かがある。
そこをなんとかしない限り、病気は本当には癒されない。
そのように教えたハーネマンが打ち立てたホメオパシー。
こういった考え方を、学ぶ時代がそろそろ来たのではないかしら。
私は、そのように思っています。