今月の活動

2014年6月授業(1年生)

6月28日(土)

前半/荻野講師

入学されて3回目の授業ということで、これまでに感じたこと、疑問に思うことについて一人ずつ話してもらい、何でも自由に質問してもらうところから始めました。

それぞれの方から、興味深い意見や良い質問が出て来ました。そして、その質問に対して、他の生徒さんが答えるなど、お互いが刺激し合える関係になって来たのを感じました。

今回は全体の半分程度の方しかお話して頂けませんでしたが、来月続きをする予定です。

質問を皆で考えて行くことで、皆で作り上げて行く授業をするのが、私達講師の理想形です。それに次第に近づいていることを感じました。

さて、今月の授業のテーマ(前半)は「罹病性(感受性)について」です。これは、ホメオパシーの健康観と密接に関係する大切な内容です。

病の真の原因は外にあるのではなく自分自身の内面にあるということです。
細菌やウイルスが人を病にするのではなく、ある特定の罹病性が(内面に)ある時にだけ、人は病になるという考え方です。

頭だけで理解するのを避けるため、実習の時間を多めに設けました。3人1組になって、お互いの罹病性(感受性)についてミニセッションをしてもらいました。
何のガイドも示さないで進めてもらったせいか、お互いをより良く理解してゆく時間になったようです。

オルガノン要約(抜粋)
§19 病とは”健康状態”が変化したものであり、治癒はその逆である。レメディは、感覚と機能を基盤とする人間の”状態”を変化させることができるので、病を治癒することができる。

§31 罹病性とは、生命にとって敵対的に働くもの=病的な有害因子。
有害因子を受けやすい傾向と素質があるときにだけ病になる。無条件にすべての人が病になるわけではない。罹病性=「Susceptibility」
(注)私が言う病とは健康状態の乱れた状態のことである。つまり病とは、精神のようなダイナミックな生命の撹乱状態のことである。

後半/野村講師

後半の授業のテーマは、「急性病と慢性病」です。

急性病と慢性病を区分して考える観点は、ハーネマンが始めたことです。この2つを明確に区分して「病」を見て行くのはホメオパシーの大きな特徴です。
この考えが基本にあったからこそ、ホメオパシーによって、非常に深いレベルの健康回復(獲得)ができるようになったと言っても良いほどです。

そのことについて、オルガノンに沿って理解を進めて行きました。

この時間も良い質問が出て来ました。自然にマヤズムについての質問になりました。
皆さん、ほんとうに鋭いですね。この概念はとても重要ですが、もう少しホメオパシー全体の理解が進んでから、改めてお伝えすることにしました。

オルガノン要約(抜粋)

§72 人間の病には二つある。
A)急性病:病的進行が速く、適度に短い期間で病気の進行を終える。
B)慢性病:初期の段階では目立たず、少しずつ健康を蝕んでいく。生命エネルギーは病に対して不完全で不適切で無駄な抵抗を企てるだけで、自分のかかった病を独力で消滅させることはできない。最終的に身体が破壊されるまで異常な状態にする。

§73 急性病には二つある。
1)有害な要因にさらされたことがきっかけとなって個別的に人間を襲うもの。たいていそれは潜伏していたPsora(乾癬)が表面に湧きあがったものに過ぎず、症状も激しいものでなく、すぐに除去されるならば、Psoraは自ずと休眠状態に戻る。栄養過不足・外傷・冷え・激情など。
2)気象や大地の影響力や有害因子をきっかけとするもの
a)散発性:同時にあちこちで複数の人間の感受性に合わせて襲いかかる。    
b)流行性:aとほとんど同じで、同じ原因から多くの人々に襲いかかり極めて似た症状を見せる。
c)感染性:大勢の人々がいる集団の間に蔓延し、感染する。
こうした病気は発生源が同じだから、病気になった人たちの病状が進行する様子は同じである。放置すると死に至るか、健康を回復する。戦争・洪水・飢きんなどが、こうした病の誘因や発生源になる。
    
流行性・感染性の急性病には、同じ仕方で繰り返し表れる特有の急性マヤズムによって起こるものがある。以下2種類・・・
1)生涯でたった一度だけ人を襲うもの(天然痘・麻疹・百日咳・おたふくなど)
2)何度も繰り返し発症するもの(レバント病、黄熱病、アジアコレラなど)

(注)ホメオパスの姿勢は、病名で判断せず、病の特性に従うものである。

6月29日(日)荻野千恵美講師

今月のオルガノンは§5だけを取り上げてみました。
ここでハーネマンは、病の真の原因は、簡単に特定できるものではなく、通常、病の誘因や要因と考えられているものは、1つの判断材料に過ぎないと述べています。
この単元は、未消化でしたので、来月も皆で話し合いたいと思います。

今月のレメディ学習は、Sulph.に関係の深いAcon. Ars. Nux-v.です。

今月からは、個々のレメディの症状の全体から、イメージしてもらう方法で進めました。
想像力の豊かな方が多いせいか、いずれのレメディでも、とても鮮明なレメディイメージが出て来ました。
(写真は、Acon.です。)

オルガノン要約(抜粋)
§5 健康回復において役立つのは以下の2つである。
いずれも誘因・要因と思われるものは病の根本原因と間違えないように留意すること。

A)急性病を生じさせた誘因となる事実を知ることは健康回復に役立つ。
B)慢性病を生じさせた要因については、慢性マヤズムの根本原因を見つける際に役立つ。そしてその根本原因を見つけるには、患者に関するあらゆること(身体の特徴・精神・職業・生活習慣・人間関係・年齢・性生活など)を考慮すること。