今月の活動
2013年9月授業(1年生)
9月28日(土)荻野講師
まず、いつものようにオルガノン学習から始めました。
§35~42は、ハーネマンがホメオパシーと他の療法(アロパシー)を比較している単元です。
自然に人間に起きて来る「人と自然の病の関係」と「人と薬(人工的な病)の関係」を比較しながら、解説しているところです。ハーネマンは、薬のことを人工的に「病」を引き起こすものだと考えています。よく考えてみたら、当たり前のことです。薬を飲んだら、誰にでも必ず症状が出て来ますから。
この比較をして話を進めて行きます。
そこでは、具体的な文献事例や臨床例をあげながら、懇切ていねいに実証的に述べていますが、ていねいで詳し過ぎて現代の私達には読みにくいところです。
オルガノンを1人で読んでいると、この単元のあたりで難しいと感じて挫折しがちです。
いわば1つ目の峠です。でも、皆でゆっくりと読み進めると意外にも簡単であたりまえな内容に驚かされます。
実は、オルガノンに記してあることは、ごく簡単で当たり前のことばかりです。
レメディ学習では、Ign. Thuj. Merc.の3つを学びました。
10月の国際セミナーの下準備も兼ねて、こういう3つの大レメディを選びました。
今回も、身体症状を中心に学ぶことから始めて心身全体のレメディ像を理解して行く方法で進めてみました。これで、3学年すべてで、この方で学びましたが、レメディ学習は、身体症状という入り口から入った方が、より深い理解に繋がることが分かってきました。
今後もこの学習方法を磨いて行きたいと考えています。
オルガノン§35~42要約(抜粋)
§35 類似していなければ治癒できないことを説明するために事例を3つ。
以下の二点を比較しながら考察する。
A)互いに類似していない自然の病気が同一の人間に併発した場合(3パターン)。
B)不適切なアロパシー薬を使って治療したら何が起こるのか。(3パターン)
§36 A-1)自然の状態において、古い病が強い場合=新しい病は駆逐される。
§37 B-1)アロパシー薬をいくら使っても慢性病はいつまでも治らないし、むしろ悪化する。これはあまりにも日常的に目にしていることなので説明の必要すらない。
§38 A-2)自然の状態において、新しい病の方が強い場合=古い病の進行は遅くなり止る。ただし新しい病が収束するか治癒されると古い病は治癒していない状態でふたたび現れる。
§39 B-2)アロパシーの薬を長く使い続ければ、古い病に新しい病的状態を加えてしまうだけである。
§42 二つ、三つの自然の病を同じ身体に同時に発生させることがある。これは類似していない病の場合だけである。それでも、自然の状態であれば、生命の統一が損なわれることはない。
9月29日(日)荻野千恵美講師
2年生の授業と同じように、10月の国際セミナーの下準備としての2つのテーマを学びました。
1つは、マヤズムについて。もう1つは、植物レメディのファミリーについてです。
●マヤズムについて
マヤズムとは、200年近く前に、ハーネマンが発見・提唱した独自の考えです。マヤズム(Miasma)の元々の意味は沼沢地から出る毒気・瘴気のことです。
ハーネマンは「慢性病の土壌」のようなものをマヤズムと呼びました。それは今の言葉で言えば、遺伝的体質のような根の深いものです。どうしたらその体質(土壌)を癒やせるのか?という問題提起をし、ハーネマンは12年間かけてその解決法まで見つけました。
このマヤズムを癒すことが、ホメオパシーのセラピスト(ホメオパス)の役割になります。
ホメオパスの役割は、「マヤズム」=土壌の改善です。土壌改善が出来たら、病になりにくく、生涯健康に暮らすことができます。
そうするためには「その人の症状の全体像」を丁寧に見て行く必要があります。それがマヤズムへ対処するための唯一の方法です。「PsoraマヤズムだからSulph.だ」のような単純な選び方では、うまく行かないことがほとんどです。
また、200年前にハーネマンが提唱したこの独自のマヤズム論と現代の考えには大きな差がありますから、混同しないように気を付ける必要があります。
現代のマヤズム論では、主として、レメディとクライアントさんのエネルギー傾向の類似性を見て行く時に利用する、とても実用的なもの=レメディ選びの「マップ」になっています。
授業では、上記のような慨観を伝えた上で、具体的に、これまで学んだ15個のレメディ達はマヤズム傾向のいずれに近いのか?を演習を通して「マップ」の理解をしてもらいました。たった15個のレメディですが、大きく眺めてみると、ある傾向ごとにグループ化できることが分かります。
1年生には、少し難しい内容だったと思いますが、今後も適宜、繰り返して学んで行く予定です。最初は、おおざっぱに感覚的に理解してもらえたら、それで充分です。
●植物レメディのファミリー毎の特性について
どんな植物も、ある属や種に属しています。
ホメオパシーでは、同じ属や種の植物ファミリーには、そのグループ共通の傾向があると考えられるようになりました。
この考えは、ここ10~20年の新しいものです。
これを利用することで、ホメオパスが使えるレメディの幅が格段に広がりました。
1年生では、植物レメディの学習は、まだそれほど多くはないので、マチン科とキンポウゲ科の2つのファミリーの傾向や特性について、考えてもらいました。
それぞれのレメディファミリーには、独特のものがあることを理解してもらいました。
最後は、気分転換を兼ねて、レパートリーを引く練習をしました。作業しながら、理解し学ぶことは、ホメオパシーを身につける時、とても大切だと考えています。