今月の活動

2011年11月講義(3年生)

11月5日土曜日:渡辺講師

3年生の病理症候学の授業は、今回が最終回である。テーマは、癌と緩和医療について。
そして、ホメオパシー哲学講義は、卒業後にホメオパスとして活動して行く上での問題点(医師法・薬事法など)について皆で議論した。

病理症候学の授業ではもう少し生徒さんの癌や緩和医療に対する考えを聞いた方が良かったかもしれない。
薬事法などに関する注意事項の点は、やはりやっておいてよかった。問題の所在、考え方について理解して頂けたと思う。

(荻野コメント)
渡辺講師の3年生への授業は今回で最後になるが、生徒さんと講師との人間関係も確かなものになっているのを感じた。卒業後もお互いが対等な立場で話し合えるところまでの関係性が出来たことが何よりの成果である。
病理症候学については、卒業後にも個人的に相談する機会が出てくるからである。

11月6日日曜日

前半:荻野千恵美講師

オルガノンと妊娠・出産に関するレメディ学習をした。

先月の国際セミナーの復習を兼ねて、オルガノンのマヤズムの項目を皆で輪読した。卒業を真近に控えて、マヤズムの基本的な理解を確かなものにしたいと考えた。

マヤズムについては誰もが理解に苦しむものだが、あれこれ雑多な理解をするのではなく原典のオルガノンを読むことで十分だと思った。ここの理解なしに現代的なホメオパシーの方法論をいくら学んでも混乱が起きるだけだろう。
この単元で、ハーネマンが一番伝えたかったのは、ホメオパシーで重要なのは病名ではなく個別化だということ。そこが通常医学とアプローチ法が全然違うのだということ。

そのことは、十分に伝えられたと思う。

またレメディ学習は、Cimic.を中心にして、Caul.Sabin.などを紹介した。

今回はコンピュータレパートリー(マックレパートリー)を使いながら講義を進めた。
慣れてもらうことが何よりも大切だと考えたから。また新たにマックレパートリー専用の練習帳を作った。これもコンピュータレパートリーに馴染んでもらうことを目的にしている。

オルガノン抜粋(要約)

§78 真の慢性的な病は、慢性マヤズムから生じる。
これを放置したり、それに対応するレメディを使わなければ悪化の一途をたどり、心身両面から最高の養生をしても悪化は進行し、死ぬまで人を苦しめる。
本当の慢性病は人類を苦しめる最大無限の拷問である。どんなに元気で頑強で正しい日常生活を営んでもこの病気を根絶することはできないから。

§79 慢性マヤズムの2つの病
SYPHILIS:不治の病として死とともに消えると思われてきた。
SYCOSIS:これも不治の病だが皮膚の腫瘍を破壊するだけで癒されたと考えられてきた。

§80 PSORAマヤズム
SYPHILIS・SYCOSISよりも計り知れないほど蔓延しはるかに重要なマヤズム。
PSORAは身体全体が完全に内的に感染した後になって初めて特有な発疹が出る。
PSORAはほとんど全ての数え切れない病を生み出す真の根本原因である。

§81 このPSORAは数百世代にわたり少しずつ受け継がれ、広範囲に無数の病の形をとって蔓延した。こうして生み出されたものには別々の病名がつけられた。

(注2)真の療法家は病名ではなく、一人ひとりの固有の徴候の余すところのない総体全体を見たうえで癒さなければならない。それは正確でなければならず、憶測で決めてはならない。

§82 ホメオパシーはPSORAに注目し対処することで、病の本質に近づいた。
しかしこれからも慢性病の症状とその特性を注意深く理解していかなければならない。
真の癒しはそれぞれの症例を厳密に特有の処置(個別化)をすることから始まる。
急性病の場合は、おのずからほとんど全ての情報が提示される。
慢性病の場合は、症状を見つけ出すことさえ困難である。

(§83~は、慢性病への対処には緻密なケーステイキングが必要であり、その具体的方法が記してある)

後半:荻野哲也講師

不妊のことで相談に来られた女性の短いケースをシェアし、グループ学習中心に進めた。
当然ながらホメオパシーでは不妊治療は出来ない。でもその方の心身全体を健康に導くことは出来る。妊娠するには、健康という土台が不可欠だから。
健康度を増し、その方の心身全体の自由度を上げるのが、ホメオパシーで唯一出来ることである。それだけで良い結果は出る。

Case Takingのための基本的な良い授業になったと思う。