今月の活動
『PLUMBUM(Plb.)プランボン』
CHKの荻野千恵美です。
厳しい暑さが続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
私たちは、先日、涼を求めて、比叡山に登ってきました。
最寄り駅「京阪「びわ湖浜大津」から
終点の「坂本比叡山口」まで15分の距離です。
二両連結の小さな電車ですが、琵琶湖の西側を山沿いに走り、
山麓の深まった緑と琵琶湖の美しい遠景の両方を楽しむことができます。
「坂本比叡山口」駅から坂本ケーブルの乗り場までは、
歩いて20分ほどの緩やかな上り坂です。
山からの涼しい風に吹かれながら、
美しい石積みの道を楽しむはずのつもりでしたが、
考えが甘過ぎました。坂本は町中に比べれば清涼な土地ですが、
さすがに、猛暑の中、夏の容赦ない日差しに照り付けられ、
汗だくになってしまいました。
ケーブルに乗ると11分で頂上に着きます。頂上駅に降り立つと、
気温は3度下がり、すがすがしい霊山の風が吹いていました。
10分ほど歩けば、境内です。
境内には根本中堂、大講堂はじめ多くの国宝、重要文化財などがあり、
荘厳な雰囲気です。
比叡山坂本ケーブル
https://www.sakamoto-cable.jp/
でも、私の一番のお気に入りは比叡山・延暦寺会館の喫茶「れいほう」。
ここからは、琵琶湖が一望できます。
そしていつ行っても、お茶を楽しみながら、
季節を感じることのできる場所です。
今回は猛暑の最中だけに、空の青さは真夏の力強さに満ちあふれ、
浮かぶ雲はわんぱく坊主のように元気いっぱいでした。
比叡山延暦寺会館「れいほう」の開運スイーツ
https://www.biwako-visitors.jp/staff/blog/detail/bonji-teramisu/
さて、
今月は、今の季節とは真逆のエネルギーを持つレメディをご紹介したいと思います。
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『PLUMBUM(Plb.)プランボン/鉛)』
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Plb.は、鉛を原料とするレメディです。
このレメディは、CHK専門コースでは、
3年目か4年目に学ぶ、ややマイナーな存在です。
CHK専門コースでのレメディの学習は、まずは、
現物質情報を発表していただくことから始めます。
「鉛」は、柔らかく加工しやすく、腐蝕しにくいので、
古代から現代にいたるまで、様々な用途に使われてきました。
とても便利で、人間にとってありがたい存在なのですが、
毒性が強いというやっかいなものでもあります。
しかも、この毒は、吸収されると9割以上が骨に沈着し、
その半分が排出されるのに5年かかるといわれています。
人体への影響は様々で、疲労感・不眠・神経過敏・頭痛・精神異常から、
脳症による死 に至るまで、さまざまな障害を引き起こします。
現代社会は、電磁波防止、釣りの重りや塗料、各種電気製品に含まれ、
工場からの排煙にも混ざっています。
古代から上水道管には使われてきましたし、
ワインの保存剤にも使われてきました。
徳川時代は、将軍の乳母の白粉に含まれていて、大切な後継ぎが早逝したり、
病気がちだったりだった要因の一つだったとも言われています。
大気汚染が原因で降る酸性雨となって、土壌や海、川を汚し、
また、燃えないゴミとして埋められたものの中に含まれた鉛が、
土壌を汚染し、河川や海を汚したりもしています。
鉛は占星術では鉛は「土星」と関係が深いとされています。
土星には、農耕や狩猟の神が住むと考えられていました。
また、「土星」は、凶星とみなされていたようで、
英語ではサターン(サトゥルヌス)と言われています。
ローマ神話に登場するサトゥルヌスは、
将来自分の子に殺されるという予言を恐れ、
自分の子供を次々に飲み込んでいった伝承から来ています。
17世紀のオランダのルーベンスやスペインのゴヤは、
この伝承をモチーフにした絵を描いています。
この絵は、自己破滅への恐怖からの狂気を表現しているそうです。
非常に暗い重い絵ですが、このレメディの質感と関係しています。
ルーベンス「我が子を食らうサトゥルヌス」
https://www.artpedia.asia/saturn-%28rubens%29/
ゴヤ「我が子を食らうサトゥルヌス」
https://www.artpedia.asia/saturn-devouring-his-son/
CHK専門コースの授業では、現物質の情報が出尽くしたら、
このレメディを必要とする人物像を想像して話し合います。
特にそれぞれが感じた質感を述べて頂きます。
明るいか?暗いか? 軽いか?重いか? 冷たいか?暖かいか?
柔らかいか?固いか?乾いているか?湿気を含むのか?
どんな状況にいるのかな?
身体のどこに関係しそう?
どんな問題を抱えているのか?
自由にいろいろ想像してみます。
想像してから、マテリアメディカ(レメディの解説書)を開くと、
いっそう面白いです。
想像した症状と、マテリアメディカの記述は、
近いイメージが出てくるから不思議です。
インドの巨匠、ラジャン・サンカランは、著書”Soul of Remedelies”の
中で、以下のような妄想(Delusion)の症状を挙げています。
MIND; DELUSIONS, imaginations; castles and palaces, sees
城が見える。
MIND; DELUSIONS, imaginations; murderer, everybody around him is a
自分のまわりはすべて殺人者
MIND; DELUSIONS, imaginations; pursued, he is; soldiers, by
兵士に追いかけられている
MIND; DELUSIONS, imaginations; conspiracies; against; him, there are
自分に対する陰謀がある
MIND; DELUSIONS, imaginations; devils; persons are, that all (2)
すべての人が悪魔に見える
MIND; DELUSIONS, imaginations; poisoned; about to be, that he is
毒を盛られようとしている。
「妄想(Delusion)」というのは、
その人が住んでいる間違った思い込みの世界です。
Plb.の人はこのような世界に住んでいるといえます。
本当はそうではないのに、彼は、そうだと思い込んで苦しんでいるのです。
庶民的な感じではなさそうです。城に住んでいるような、支配階級の人。
そんな立場にありながら自分のいる場所は、すでに崩れかけている。
攻撃を受ける、とても危険な状態にいるという感覚。
マテリアメディカ(レメディの解説書)には、
「贅沢な生活、あらゆる最善のものを享受し楽しんだ。」という記述があります。
「楽しんだ」という過去形なのが印象的です。無感動で、イライラしている。
凝り固まって、硬化した態度や傾向。
危険でスキャンダラスな振る舞いに刺激を見出したりします。
身体症状は、神経や筋肉の硬化、無感覚、退縮、痙攣、脱力。
命がだんだんと、みずみずしさを失って、固まり、縮むイメージです。
最もPlb.らしい症状の一つは・・・
ABDOMEN; RETRACTION; Umbilicus attached to spine ; as if
(腹部;退縮;臍;まるで脊柱にくっつくかのような)です。
“RETRACTION(退縮)”というのが、このレメディのキーワードです。
退縮の感覚は、全身~目、胃、腹部、肛門、睾丸にわたり出てきます。
鉛は、重金属。毒性が強い物質で、人間の営みとともに自然界に散らばり、
そして人間の健康をじわじわとむしばんでいきます。
病は深く、業病のような病に罹りやすいかもしれません。
マヤズム(病の傾向)分類では、最も深く重いもの~SYPHILISマヤズムに
位置付けられています。