今月のレメディ
『2024年 第16回 CHK国際セミナー』(荻野千恵美)
今年も、9月14日15日の二日間にわたって、
国際セミナーを開催することができました。
コロナ禍以前は、大きめの会場を借りて、CHK全学年の生徒さんだけでなく、
CHKや他校の卒業生、がそろって受講する、お祭りにも似た行事でしたが、
最近は、オンライン(Zoom)受講が中心となりました。
すこし寂しいですが、北海道から沖縄までの生徒さんたちが自宅でリラックス
して学べるようになったのは、やはり喜ばしいことなのでしょう。
国際セミナーの講義をジェレミー先生にお願いするのは、2017年から今回で5回目。
https://www.chk-homeopathy.jp/past-international-seminar
先生のセミナーは、長年ホメオパシーの臨床や学びを続けてきた人から、
今年初めて国際セミナーを受ける初心者まで、すべてを満足させてくれます。
セミナー後には、今年入学したばかりの1年生の生徒さんから
「すっかりジェレミー先生のファンになりました。」というメールをいただきました。
ジェレミー先生が、ホメオパシーの知識レベルの違う人たちをすべて満足させ、
ファンにまでさせることができるのは、なぜでしょうか?
私は、先生のホメオパシーが、豊かで力強いからだと思っています。
それは、ホメオパシーの土台がしっかりしているから。
その土台は、先生がいくつものレメディをプルービングし、
新しいレメディを誕生させてきた経験の積み重ねによるものだと思うのです。
今回のセミナーで「プルービングに時間を費やさない指導的ホメオパスたちの
多くは、論理によってホメオパシーをとらえようとしすぎてしまう。
プルービングがないとホメオパシーはドライになってしまう。」と
おっしゃった先生の言葉は、私の心に響きました。
今回は、ホメオパシーの4つの原理、「類似の法則・最小投与・個別性・全体性」
を「火・風・土・水」の四大元素を使って、これらを処方の際、いかに有機的に
考慮していくかについて、オルガノンの具体的な個所を示しながら教えていただ
きました。
不思議ですが、イスラエル人のジェレミー先生から、ドイツ人医師のハーネマンが
作り上げたホメオパシーを、学ぶとき、私はいつも、東洋的な静かで深い知恵を
感じます。
その感覚は、先生の講義を受けるたびに、私の喜びとなっています。
今回は、会場となった四条教室で、先生がプルービングをされた希ガスのレメディ
の本を販売させていただきました。
“Helium” “Neon” “Argon” “krypton” です。
私もジェレミー先生が主催されたダイナミススクール・JAPANの生徒として、
2020年にプルービングに参加しましたが、あの体験を受け取め、まとめるのは
大変厳しいものです。
数十人の人に現れた膨大な症状を整理・統合し、
1冊の本にするのには、数年間かかるそうです。
1冊の本にまとめたところで、初めて新しいレメディは誕生します。
新生児のように、多くの人を助ける旅をスタートさせ、次第に成長して行きます。
今回のセミナーは、長く学んできた参加者の方々にとっては、
ホメオパシーのすばらしさの再発見であったのではないでしょうか。
そして、まだ学び始めたばかりの人にとっては、これからも頑張って勉強しようと
いうモチベーションアップになってくれたと思います。
先生には、ただ感謝です。そして、毎回のことですが、このセミナーを企画して
くださる吉川真希さんと素晴らしい通訳をしてくださる藤崎智子さんには、大感謝です。
お2人のご尽力によって、このセミナーを開催することができました。
本当にありがとうございました。
今月は、ダイナミススクールで学んだとても珍しいレメディをご紹介します。
私のブログでもご紹介しています。
2022年1月24日に投稿した文章からの抜粋です。
ARGON(Arg./アルゴン)
日本でのダイナミススクールは、2019年のゴールデンウイークに始まりました。
そして、2022年1月9日の授業で、最終日を迎えました。
最後の授業で教えていただいたレメディが、ARGON(Arg./アルゴン)でした。
このレメディは、先生がプルービングをし、誕生させた新しいレメディです。
原子番号18
最外殻電子が8個のこの元素は、化学反応を起こして他の元素と結合すると
いうことをしません。希ガスと呼ばれているものです。
20~30年ほど前から、ホメオパシーの世界では、元素周期律表は、人間の発達
段階のレプリカであるという考え方をします。
https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022150069_00000
ジェレミー先生は、レメディを理解するときのツールとして周期律の考え方を
大切にされますが、とりわけ希ガスについての理解を重要視されていて、
ダイナミススクールでは、いくつもの希ガスのレメディが、
プルービングされています。
私たちは「希ガスは、その列の完全な姿であり、次の列への橋渡しである。」
と教わりました。
アルゴンは、周期律第3列のレメディです。
第3列は、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリカ、燐、硫黄、
塩素、アルゴンという順序で元素が並びます。
第3列のすべての元素は、ホメオパシーでは、子供の発達段階に相当し、
人間関係・アイデンティティ・世話・養育といったテーマに関係があると考えます。
1番目のナトリウムNAは、アイデンティティがまだ育っていない感覚。
誰かを頼って、その人と一つに強く結びつきたいという、強い依存心。
まるで、母親に依存しきった乳幼児のように。
マグネシウムMGは、親からの愛や世話を望みながらもほとんど得られない依存。
そこには怒りや苛立ちをともないます。
100年前の米国のケント博士は「Mag-c.は孤児のレメディ」と称しました。
アルミニウムALは、もう少しアイデンティティは育ち始めているものの、
まだ十分ではなく、混乱状態の中にある。
シリカSIはこの列の中央あたりに位置する、お姫様のような存在。
周期律表の真ん中の高いところにいる(ホメオパシー的周期律では)ので、
他人の評価が気になって仕方がありません。恥ずかしがりで頑固です。
燐Pになると、エゴが育ち完成し、依存してきた家族から離れて、
友達を探しに外に出ていきます。
硫黄Sはエゴのレメディ。家族なんて、ばかばかしいと我が道を行くやり方で進みます。
塩素CLは依存していた人の愛情を得られず、悲しみと恨みを持っている。
人間の成長で例えると、第3列は生まれて、家庭や地域、学校で養育や教育を受ける
段階に相当します。
次の4列になるといよいよ社会に出ていき、仕事をして役割を担う段階となります。
アルゴンAGは第3列の最終段階で、次からは第4列に移っていくという位置にいます。
保護者に守られ自己を育てるというテーマにおいての完成形です。
子供の世界の理想の姿をイメージすることもできます。
ネバーランドという夢の国の住人のスーパーヒーロー、ピーターパンが
イメージキャラクターです。
彼は魔法の国に住んでいて、空を飛ぶことができます。
ウェンディと恋に落ちますが、何もしません。
永遠に子供の世界にいる人なのです。
ネバーランドでは、海賊のフック船長が悪者です。
彼は、ワニに足を食べられて義足です。
そして、そのワニは時計も飲み込んでしまいました。
フック船長は、時計の音を聞くと、ワニがくるといって怖がります。
時間を知らせる時計をワニが飲み込んだというのが、とてもアルゴンらしいです。
時間は、あらゆるものを古くしてしまうもの。子供を大人にしてしまうものですから。
アルゴンの人は、社会に出て、結婚して、職場や家族への責任を負うことを拒みます。
時間を止めたい!
子供時代にしがみつこうとします。
アルゴンという名前はギリシャ語の「怠惰」「不活発な」というところからきています。
化学反応をおこさない性質からそのような名前が付いたようです。
アルゴンは、他の元素と結びつかないので、酸素とも結びつくことがありません。
ですから酸化しない物質。
保存剤として使われていたようです。
古い電球にはアルゴンが保存剤として使われていました。
アルゴンもダイナミススクールでプルービングしていますが、「電球の中にいる。」
「私が光っていると言われ続けた。」という感覚をもったプルーバーもいたようです。
プルービングから得られた情報のごく一部が紹介されました。
高いエネルギーと疲労。
干からびた喉の渇き。
頻繁で多量の排尿。
緊急で突然の下痢、爆発的かもしれない。
一人になりたい。
穏やか。
完璧主義。
真実にまっすぐ。
垂直の結合VS水平な不活性
自分は完璧なのでほかのものと混じることはない。
完成した感覚。
食べ物も何もいらない。
クリームをなめた猫のような満面の笑み。
致命的なことはおこらず、うまくいく。
損失、事故も大丈夫。
すべてが霜の花におおわれているよう。
色と美しさの理解が深まった。
霧に包まれた山のそばのプールでの魔法のような泳ぎ。
誰かが私に面白い冗談を言ってくれた。
私は笑いながらヒステリーを起こしそうになった。
暖かく安全なものに包まれていたい。
最後に、ナットムール(Nat-m.岩塩)である程度よくなったけれど、
治りきらない3歳の男の子のケースを紹介していただきました。
夜通し乾いた咳をする子。
尿を我慢する。
欲しいものを言わない。欲しがらない子。
赤ちゃんの時は、おとなしく、静かな子で要求しなかった。
1歳半でしゃべる賢い子。
幼稚園では、仲間に入っていかない。
同年代の幼児は苦手で、大人のほうが好き。
音楽好き。
口は達者でウイットに富む。
混ざったものが嫌で、強迫観念的に片付ける。
ナットムール200cからアルゴン200cに変えると、症状は良くなり、
心を開いて、幼児たちとも遊ぶようになったそうです。
ナットムールの原料は塩化ナトリウムNacl。
第3列の1番目のナトリウムと7番目の塩素の化合物です。
ナットムールは、どちらもイオン化傾向の強い元素のナトリウムと
塩素が結びついて、完璧になろうとするもの。
一方、アルゴンは、単独で完璧な存在。
似ているけれど・・・どう違うのでしょうか?
ナットムールは、完璧でない関係への悲しみであるのに対して、
アルゴンは完璧な愛への悲しみ、だというお話でした。
どちらも、閉じている人。とても似ていて、でもずいぶんと違う。
ホメオパシーって面白いなあ~
そんな気持ちにさせてもらえる学びでした。