今月のレメディ

『子供の健康を考える~予防とホメオパシー』と今月のレメディ『Alumina (Alum.)』

こんにちは、CHK荻野千恵美です。

11月4日(祝)に、CHKでは「子供の健康を考える~予防とホメオパシー」
というテーマでセミナーを開催させていただきました。
今回で、3回目の開催になりました。

教室参加の方、Zoom参加の方、どちらも、それぞれ15名ほど集まって頂き、
講師と参加者一体となって、ともに考える時間を過ごすことができました。

前半(10時~12時半)は、CHK講師の松本美紀さんが担当されました。
https://treeofchild.com/about/

美紀さんは「子供とお母さんの健康」をテーマに
母親の視点からの活動を長く続けてこられました。
彼女の関心は広く深く、東洋医学、自然療法、海外での様々な学びも経験されています。
ホメオパスとしても実力派で、大勢のお母さんたちからの信頼は厚いものがあります。

今回セミナーでは、子供の病気を「予防」という観点から
考え直すことから始まりました。
引き続いて、ワクチンの歴史、感染症の罹患者数の変遷、
公衆衛生との関係性などについて、
データに基づいた資料をもとにわかりやすく解説されました。

我が子を愛するお母さんの心には、心配や不安がわいてくるものです。
そして、不安は、いつの間にか、カチカチになってしまいます。
お母さんの、固い氷のような不安を、暖かく溶かしてくれる
お日様のような美紀さんに、元気をもらった方は多かったと思います。

午後からは私たち夫婦が担当しました。
CHK主宰の荻野が、子供の感染症へのホメオパシー的な対処法についてお話しました。
ホメオパシーのこと何も知らない方から、CHKを卒業して臨床をしている方まで、
すべての参加者の方がそれぞれに応じて納得し満足して頂ける内容だったと思います。

ホメオパシーには、大切な4原則があります。
1つ目は、類似の法則に基づくこと。だからこそ、根治を期待できるということ。
2つ目は、希釈浸透したレメディを使い、できる限り、単一で最少量を使うこと。
それは、人の一番大切な生命力に対するアプローチだからです。
3つ目は、部分ではなく、その人全体を見ること。
その人をまとめる生命力は、その時、その場で、ただ1つだからです。
4つ目は、個別性。同じ病的影響を受けても、それに対してどのように病んでいくか、
あるいは元気でいられるのかは、人それぞれ違います。その違いを大切にすること。
これらの原理原則をベースに、自分自身が体験したこと、ホメオパスとしての臨床で
経験したことをお話しました。

子供たちの健康への思いを込めてお伝え出来たのではないかと思います。

最後に私も、小児病で活用される植物レメディ6つについてお話をさせて頂きました。
専門コースでの授業と同じ、私のスタイルです。

まずは、レメディの原料となる植物の生息地、姿形、あり方の特徴、
特性毒性を画像などを使って知って、感じてもらいます。
そのあと、ホメオパシーのマテリアメディカ(薬効書)を見ると、
その植物の特徴が、そのまま、レメディの記述と重なるのがわかります。
そして、レメディと似た症状を持つ人がいれば、その人を健康な状態に戻してくれます。
これが、類似療法、ホメオパシーです。
人間の苦しみが、自然界の様々なものに表現されている・・・
不思議だと思いませんか?

朝10時から、昼食時間を挟んで、夕方5時まで。
長丁場のセミナーでしたが、皆さん、最後まで熱心にお付き合いくださいました。
参加者の皆様には、ただ感謝です。とても、楽しい1日でした。

さて、
今月は、酸化アルミニウムを原料とするレメディをご紹介します。
私のブログでも、ご紹介しています・


『Alumina (Alum.)』

アルミナは、酸化アルミニウムを原料とするレメディです。

酸化アルミニウムは、もともとは、ボーキサイトとして存在します。
ボーキサイトは、中国、ブラジル、インドなどの鉱山で産出されています。
鉄ばん土と呼ばれ、鉱物というより、
赤褐色をした、柔らかい粘土が固まったようなものです。
ボーキサイドからまずは酸化アルミニウムを作ります。
酸化アルミニウムは白い粉状のもので、陶器を作るときの粘土の原料にもなっています。
アルミニウムは、酸化アルミニウムから作られますが、
アルミニウムを作るのには、多量の電力が必要なため、
日本では、ほとんど作られなくなりました。

ボーキサイトがアルミニウムになるまでは、
以下のサイトがとても分かりやすく説明してくれています。
https://www.shisaku.com/blog/anatomy/post-113.html

アルミニウムが発見された当初は、電力が高価だったため、
粘土からできた「銀」として宝石の1つに並べられていました。
ナポレオン3世は、大切な客には金銀より、アルミの食器を使ったそうです。
https://diamond.jp/articles/-/268010

アルミニウムは、医薬品、建築のサッシや外壁、自動車部品、
貨幣(1円玉)、調理器具、食品添加物、飲料水の浄化剤など広く使われており、
私たちの生活にはなくてはならない存在です。
特性は、軽い、強い、耐久性が良い、加工しやすい、電気をよく通す、
光や熱を反射する、磁気を帯びない、熱をよく伝えることなどです。
その毒性は、中枢神経に現れます。アルミ二ウムが脳に過剰沈着すると、
言語障害、痙攣、行動異常、記憶低下、痴呆などとして現れます。
それ以外では、便秘、皮膚や粘膜の乾燥、発汗の減少などもあります。

また、酸化アルミニウムは、天然ではコランダム(金剛砂)として存在します。
極端に硬いので、金属やカラスの研磨剤として使われます。
コランダムに鉄やチタンが含まれているとサファイアとなり、
クロム化合物が含まれているとルビーとして存在します。
https://www.infonix.jp/genre/rough/stone/corundum/

CHK専門コースの授業では、原物質についての予習をして頂きます。
レメディ学習では、まず、調べてきていただいた情報を
ホワイトボードに書き込んでいきます。

それらを書き出して、みんなで、全体を眺めて、
原物質から立ち上がるエネルギーを感じてみます。

重い? 軽い?
乾いている? 湿気ている?
熱い? 冷たい?
寂しそう? にぎやか?

このレメディにマッチする人は、
世の中では、どんな立場や役割を果たしていそうかしら?
身体では、どんな症状で悩んでいそうかしら?

こういったプロセスを経た上で、マテリアメディカを開いてみると、
無機的とも思える症状の羅列が、生き生きと有機的に見えてきます。
レメディのもつ、様々な症状どうしが、不思議なつながりを見せ、
生きている一人の人間像として立ち上がってきます。
そこまで来たところで、身近な、誰かの顔が浮かんでくる人がいてくれたら、
授業は盛り上がり、レメディは記憶するべきものではなく、印象付けることができます。
アルミニウムは、私たちの生活のありとあらゆるところで使われ、
なくてはならない存在です。健康的な、Alum.の人は、
このようなあり方で、社会を支えてる大多数の人だと思います。
アルミニウムの特性は、軽い、強い、耐久性が良い、加工しやすい、
電気をよく通す、光や熱を反射する、磁気を帯びない、熱をよく伝えることなどです。

さまざま特技を持って社会を支えている人なのかも知れません。
ずっしり重い責任を背負った人ではなさそうです。

Alum.の典型的な精神症状の一つが・・・
MIND; CONFUSION of mind; identity, as to his
精神の混乱;自分のアイデンティティ
・・・です。

この症状が見られる場合は、かなり病んだ状態にあると思われます。
レパートリー(症状別レメディ検索辞書)ではこの症状には、
たくさんのレメディが並んでいますが、Alum.が一番強調文字で
記載されています。

酸化アルミニウムの白い粉は、陶器の原料です。
これから自分はどんな食器になるのか?何になるかは、作家さん次第です。

コランダムは、金剛砂とも呼ばれ、ダイヤモンドに次ぐとても硬い鉱物です。
純粋な状態では無色透明。硬いのが取りえで研磨剤の原料になります。
でも、含まれる物質によって、サファイアにも、ルビーにもなります。
どのような宝石になるかどうかは、同時に含まれる物質次第。

ナポレオン三世の時代には、酸化アルミニウムの白い粘土は加工され、
銀よりも高価なものになりました。
でも、皿になるのか、スプーンになるのか、はたまた宝飾品になるかは、
作り手次第。

アイデンティティの混乱。
私は、何?どうしたらいいの?
こういった精神状態では、自分をコントロールすることができません。
精神は、鈍くなってしまいます。
ぼんやりとして、決められたこと以外のことをするのに大変なストレスを
感じてしまいます。
何をするのにも、時間がかかります。
考えることが苦手で、記憶力も弱ります。

自我の不安定さは、時に自殺傾向に結びついたりして、
それゆえに、ナイフや血を異常に恐れたりします。

神経系のコントロールの喪失は、麻痺や運動失調、眼瞼下垂などの症状を起こします。

消化器系のコントロール喪失は、便意の感覚麻痺からくる便秘や食欲異常、
異嗜(通常は食べ物ではないものを食べようとすること)を起こします。
ジャガイモのようなでんぷん質の消化もうまくできません。

皮膚は乾燥しています。

乾燥していて、運動機能を失うというと、高齢者のイメージ。
精神が鈍く、記憶力が乏しいといえば、認知機能低下症。

高齢者だけかというと、意外に虚弱な未熟児にも使われてきました。

ホメオパシーの個人セッションにいらっしゃる方の中には、
壮年期の女性の方も、このAlum.を必要とする方が、結構いらっしゃいます。

主訴は、皮膚や消化器の問題だったりします。
でも、その内面にある乱れの中心が、このレメディを指示していることが
よくあります。

過干渉なご両親のもとで育った人。
親の望むような人間になることを強く押しつけられたような人。
子供時代に個性やアイデンティティを、親に押し込められてしまった人。

自分は本当は何をしたらよいのか?どうありたいのか?わからなくなっているような人。この状態がひどくなると、絶望感から、自殺衝動にまで行ってしまうこともあります。

インドの巨匠サンカランは、このレメディを、Aur.(金)やMerc.(水銀)同様、
Syphilis(梅毒)マヤズムに分類しています。
それは、人間にとってもっとも大切な希望というものを失っているからです。